4月のイベント(1)2008年04月01日 22時09分01秒

4月に予定されているイベントをご紹介していきます。

4月3日から、私の勤めている国立音楽大学(玉川上水)では、基礎ゼミという、新入生のための特別企画を開始します。私はずっとその責任者で、企画立案をしていますが、スタートにあたるレクチャーコンサートでは、トークも担当します。今年は「響け、オルガン!」と題して、次のようなプログラムを組んでみました。

バッハ プレリュードとフーガ変ホ長調BWV552/ サン=サーンス 交響曲第3番ハ短調《オルガン付き》/ モーツァルト 歌劇《フィガロの結婚》より第3幕

出演:今尾滋(アルマヴィーヴァ伯爵)、大倉由紀枝(伯爵夫人)、久保田真澄(フィガロ)、高橋薫子(スザンナ)、長谷川顕(バルトロ)、押見朋子(マルチェッリーナ)、角田和弘(ドン・クルツィオ)、青田絹江(オルガン)、栗田博文指揮 KUNITACHIフィルハーモニカー

どうです、このキャスティングは!今日リハーサルをやりましたが、〈手紙の二重唱〉なんか、すごいですよ。

このコンサートは2時半からで、残念ながら外部の方はお入りいただけません--というのがいつもだったのですが、今年は6時半から2回目のコンサートを行い、どなたでも聴いていただけることになりました。入場無料。ただし、国立音楽大学のホームページから、チラシをプリントアウトしてご持参ください。3日、講堂大ホールです。お待ちしています。

4月のイベント(2)2008年04月02日 22時17分38秒

「すざかバッハの会」主催の「バッハ最先端」シリーズ、第2回は、4月13日(日)の14:00からです(須坂メセナホール小ホール)。

3部構成でお届けするこの講演会。第1部「話題と情報」では、インターネットで世界を駆け巡った「バッハの顔」(コンピューターによる復元)を切り口に、バッハの肖像についてお話しします。

第2部「この1曲」は、《平均律クラヴィーア曲集第2巻》の、嬰ヘ短調のプレリュードとフーガ。《平均律》の中でも私のとくに好きな曲ですが、この曲の特色となっている「三重フーガ」について学んでみましょう。

前回あまり時間の取れなかった《マタイ受難曲》、今回は最初の聖書場面(受難の預言と香油を注ぐ女)のあたりを中心に扱います。近隣の方、お出かけ下さい(ホームページもありますので、情報はそちらをどうぞ)。

4月のイベント(3)2008年04月04日 23時13分12秒

4月22日(火)、いずみホールで、「童謡!この尊きもの」というコンサートを開きます。花岡千春さん(ピアノ)とやっている「日本のうた」のシリーズの第3回にあたります。出演者はソプラノの松田昌恵さんと、テノールの畑儀文さんです。

誰でも知っている曲を並べて一流の歌手に歌わせる、という客集めのコンサートだと、思われたくありません。私はこの企画のために、童謡を相当勉強しました。そして、大正後期に一気に盛り上がったこの運動の精神に感銘を受け、子供の心に芸術の理想郷を見いだしたその精神を伝えようと、プログラムを組みました。

したがって、いわゆる「子供の歌」を広く含むコンサートではありません。演奏されるのは、大正期と、その後継にあたる昭和初期の作品だけです。そして、その精神と今日どう向かい合ったらいいかという問いかけを踏まえて、加藤昌則さんに新作を依頼しました。加藤さんは、童謡運動の旗手となっていた『金の船』誌からの2つの詩(若山牧水など)と、詩人でもある歌手、宮本益光さんの詩を選び出し、目下、作曲してくださっています。この思いを汲んで、ぜひ応援していただきたいと思います。構成は次の通りです。具体的な曲については、いずみホールのホームページをご覧下さい。

第1部 童謡運動の始まり--大正7年から9年まで/第2部 童謡の盛期--大正10年代/第3部 昭和のレコード童謡/第4部 山田耕筰の芸術/第5部 童謡の精神を求めて(加藤昌則の新曲)

4月のイベント(4)2008年04月05日 22時29分42秒

いずみホールでは、4月26日(土)の16:00からも、イベントがあります。

今年、いずみホールでは、通年企画としてベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を、8つの弦楽四重奏団のリレー方式で演奏するコンサート・シリーズを行います。26日に行われるのは、そのためのプレ・イベントです。

レクチャー「魅力を語る」となっていますが、中味は豊富です。前半は、企画監修をお願いしている土田英三郎先生との対話で、この作品分野について概観します。後半は、アルティ弦楽四重奏団のチェリスト、上村昇さんを交えて、聴き所や、演奏のむずかしさ、面白さなどを語り合います。助成 人による新進の四重奏団、クワルテット・アルモニコに、極めつけの楽章を演奏してもらう計画にもなっています。入場無料ですが事前申し込み制ですので、興味のある方は、私にご一報下さい。公演の通し券(よく売れています)も、今のうちにどうぞ。

スザンナは来ない!2008年04月08日 23時19分27秒

新入生企画「基礎ゼミ」は、後半に入りました。総責任者であるため連日大学に出向き、打ち上げに付き合ったりしていますので、かなり疲れてきています。金曜日まで、がんばらなくてはなりません。

しかしこの企画、新入生にはもちろんですが、教員間のコミュニケーションのためにも、たいへん役に立ちます。「お話」と呼んでいる講演や、クラスでの自己紹介談話などを通じて、平素外側しか拝見していない同僚の先生方の人間味や力量、ワールドなどがよくわかるからです。さまざまな発見があります。

それは、出演の方々が周到な準備に基づいてベストを尽くしてくださっているからに違いありません。終了した2つのお話、今井慎太郎さん(コンピューター音楽部門)と横井雅子さん(民族音楽学部門)のそれは、的確な話術といい、興味深い内容といい、引き締まった進行といい、見事なものでした。こういう取り組みこそ、新入生に伝わるものであると思います。

私が自分でステージに上がったのは、1度目のコンサートでした。プログラムは既報の通りです。ずらりと一線級の並んだ《フィガロの結婚》第3幕についてはいろいろご紹介したいのですが、スペースの関係もあり、あえて1点だけ書かせていただきます。

六重唱が終わったあとに始まる、伯爵夫人のレチタティーヴォとアリア(←オリジナルの順序)。「スザンナは来ない」と待ちわび顔で始まるのですが、ここのところで大倉由紀枝さんが出された声を、できうれば、皆さんにお届けしたいです。気高いまでの味わいをたたえたその声は、一朝一夕では、絶対に出ない(と思います)。平素はとてもさっぱりした方なのですが、深い人間性がその背後にあることを、その声は物語っていました。それが伝わるのが、音楽のすばらしさではないでしょうか。

同僚のことを文章化することが適切であるかどうかわかりませんが、このことは、どうしても記録しておきたいと思いました。他の皆様にも、本当によくやっていただきました。ありがとうございます。

手に汗握る体験談2008年04月10日 22時52分47秒

9日(水)は基礎ゼミ最後のイベント。皆様ご存じの大テナー、小林一男先生が「私のヨーロッパ・オペラ武者修行」と題する講演をなさいました。

小林さんが話題豊富な座談の名手であることは、私も先刻承知。企画者として唯一の不安は、話題が広がりすぎて時間内に収まらず、いいところで打ち切り、となってしまうことでした。まあそれでもくつろいだお話を楽しく伺えれば、と思い、開始前に控え室に挨拶に行きました。

すると棚の上に、原稿が乗っています。1時間半のお話が、すべて原稿化されている。そしてところどころに赤で、「10時59分」「11時13分」という1分単位の指定で、時間が書き込まれているのです。驚いて引き返した私が、手伝いに控えておられた中村敬一さん(演出家)にその旨を伝えると、その原稿は何稿目かのものだ、との由。準備に準備を重ね、時間の計測も繰り返して、このように練り上げられたようなのです。

ピアノの河原忠之さんを伴い、スカルラッティの軽妙なアリアを披露して始まった講演は、こなれた日本語で(←原稿が完全な話し言葉になっている)、背景写真も交えつつ進んでゆきます。途中、一度ブレイクがあり、代わりに登場された河原さんが、プッチーニ《マノン・レスコー》の間奏曲をピアノで演奏。むせび泣く弦合奏を聴くような、情感にあふれた演奏でした。続いてトスティの《四月》が、きめ細かな美声に情熱を込めて歌われ、後半のお話へ。終了が12時00分であったのには、あっけにとられてしまいました。

武者修行のお話は、波瀾万丈、手に汗を握りました。遠慮して失敗談ばかり話す方もおられますが、やはり学生に夢を与えるのは、苦労や努力の背景をたっぷり折り込んだ、成功談です。しかし、言わなくても済むような挫折の体験も率直に盛り込まれ、お話の幅を広げていました。

昔の写真よりずっとすてきな先生とワインを飲みながら楽しく語り、夜を過ごしました。

4月のイベント(5)2008年04月11日 21時49分17秒

更新をするとき、まずすること。それは、トラックバックの削除です。毎回十数件のトラックバックが、海外から入ってくる。機械的に送信されているようで、削除しても削除しても送られてきます。で、案外手間なので、トラックバックを廃止しようと思いますが、よろしいでしょうか。

当初は、トラックバックを、リンク代わりにしようと思っていました。私は無精なので、HPをやっていた頃も、リンクの構築が苦痛だったのです。相互リンクをご希望の方には申し訳ありませんが、コメントの中に盛り込んでいただくよう、お願いします。

ついでに、ご案内を。今月の「楽しいクラシックの会」は、19日(土)の10:00から、「コレッリと中期バロック」というテーマで行います。朝日カルチャーの横浜は休み。同じく朝日カルチャーの立川では、「礒山 雅の音楽講義--クラシック音楽の指針」というシリーズを始めます。第4水曜日の10:30からで、とりあえず3回。私が音楽美学の授業で話しているような内容を、一般向けに再構成するつもりです。

ところで、今月の第4水曜っていうと23日なんですが、22日の夜はいずみホールの童謡コンサートですよね。朝一番で帰るの、大丈夫だろうか・・・。

見ての通り2008年04月12日 23時55分49秒

金本選手が大記録達成。優さん、お喜びでしょう。私が興味があるのはしかし、別のことです。

野村監督、すっかり人気者になりましたね。この名声、この人気は、昔なら考えられなかったことです。スポーツ記者たちもコメントを楽しみにし、監督の方も、日替わりで愉快なコメントをしている。毎日、新バージョンを考えているようです。

反面、言葉が変わらない監督というのもいる。開幕から当分の間、判で押したように「見ての通り」とコメントしている監督がいました。楽しみに読みに行く人(私のこと)もいるのだから、もう少し表現にバラエティがあってもいいなあ、と思っていました。記者さんたちも、同じじゃ書きにくいですよね。

ところがこれが、意識的なものであったことを知りました。なぜならその後、「本当はこの言葉は使いたくなかったのだが、今は我慢だ」というコメントが出てきたからです。そうか、「我慢」という言葉を使わないように、「見ての通り」と言っていたのですね(よく意味がわかりませんが)。

今日は久しぶりに、この方のコメントを楽しみにしていました。今、テレビで確認。今日は「プロとして当たり前のプレーができていない」というものであったようです。また、「見ての通り」というのを聞きたいなあ。今年、野球面白いです。

乗り継ぎ2008年04月14日 22時17分18秒

須坂に行くときには、国立~西国分寺~武蔵浦和(または南浦和)~大宮~(新幹線)~長野というルートをたどります。乗り継ぎがありますから、ネットを調べる。昨日もその指示を仰いだのですが、武蔵浦和で20分近い待ち時間があるのを不審に思っていました。

ところが着いてみると、1台前の埼京線に、悠々間に合うのです。大宮には予定よりはるかに前に到着。な~んだ、それならもう少しゆっくり出てこられたじゃないか。大慌てで飛び出してきたのに!

どうやらナビは、余裕をたっぷり取って、乗り継ぎを教えてくれたらしいのです。でも、ナビを調べる人は、時間がない人、急いでいる人なのではないでしょうか。ゆっくり余裕を見て出る人が、ネットを検索しますかね。

国立駅にも新幹線の自動販売機ができました。よし、ここで買けば乗り継ぎ速いぞ、と思ってやってみると、楽勝で間に合う時間なのに、次の列車が対象になってしまう。急ぐから、ここで買おうとしているのに・・・(イライラ)。東京駅に駆けつけ、よし間に合った、と思って自動販売機を使うと、画面に出てくるのは次の列車。絶対間に合うのに!

というようなことばかり経験しています。ナビには、待ち時間を詰める設定もあることがわかりましたが、急いでいる人のニーズにこそ応えてほしいなあ。

気高さの一語2008年04月16日 23時12分01秒

今日は久々に家にいられる日で、CD選に費やしました。いま、アーノンクールがバイエルン放響を指揮したシューマンのオラトリオ《楽園とペリ》を聴き終えて、たいへん感動しています。気高さの一語。すばらしい作品ですね。これこそ、先日観たばかりのウェーバー《魔弾の射手》に、まさに欠けていたものです。でもアーノンクールはいつから、こういうやさしい愛に満ちた演奏をするようになったのでしょうか。松本學君、情報ありがとう。

2位にはツィマーマンの弾くルトスワフスキのコンチェルトを入れようかと思ったのですが、これって、再発なんですね。再発は対象外、と申し合わせています。まあ、新聞に出る前に書くわけにはいかないので、2位、3位は後日、ということにします。

今夜は、中日とオリックスの投手が、プロ入り初勝利。「見ての通り」というコメント、聞けるといいなあ。おや、愛の感動から、私はもう地に戻ってしまったようです。

〔付記〕オリックスの小松投手、2勝目でしたね。失礼しました。