学問とは何か、を知るために ― 2008年07月07日 23時02分08秒
尊敬する友人、関根清三さん(東大教授)が、すごい本を書きました。『旧約聖書と哲学--現代の問いのなかの一神教』(岩波書店)というものです。
関根さんは、昨今優勢な歴史学的解釈に対して哲学的解釈の復権を唱え、旧約聖書から、今日なお有効なメッセージを救い出そうとしておられます。旧約のマソラ本文や七十人訳、アリストテレスや現代各国語の哲学に及ぶ膨大なテクストの読み込みに圧倒されるのが、まず第一歩。声高な一神教批判とも真摯に向き合いつつ熟慮を重ねる誠実そのものの姿勢に、深いところから心を温められてゆくのが、第二段階。読むにつれ、これにくらべたら私など何も勉強していないなあ、という思いがわき上がってきて、下を向きます(←掛け値ない実感)。でもそう思えることが、不思議なうれしさを伴っているのです。
学問とは何か、哲学とは何か。わからなくなったら、この本を読むのがお勧めです。古今の先学に学びながら、重要な問題を批判的に、良心的に徹底して考えてゆく著者の姿勢が、その答になることでしょう。本物と偽物の違いも、わかるようになるはずです。
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