言葉は大切 ― 2009年02月11日 22時21分29秒
いつぞや、首相の読み間違いをきっかけにした一文を書きました。間違いはたしかにみっともないが、鬼の首を取ったように嘲笑するのはどんなものだろうか、誰でも間違いはしているのだから、という気持ちを込めた一文でした。私はマスコミのいわゆる言葉狩りにも批判的で、多少の失言をしたからと言って、その人を追及しようと思ったことはありません。
そんな私でも、郵政民営化をめぐる首相の一連の発言には、首をかしげてしまいます。郵政民営化の是非について私は本当のところはよくわかりませんし、結局は一長一短、運営の問題なのではないかと想像もしています。しかし、首相の発言にとかく感じられる「言葉を大切にしない」傾向に、強い抵抗を覚えるのです。
本音を言えない場合、逃げざるを得ない場合、やむなく嘘をつく場合。それらは日常にもありますから、政治の世界ともなれば、必須の技術かもしれません。しかし、人間同士の絆が言葉の信頼性に立脚していることは、そうした状況を前提にしてさえ、言えるのではないかと思います。私はものを書き、話すことが仕事ですから、言葉の信頼性には自分なりに気持ちを込めていますし、他の方々との交際でも、信頼できる言葉を交換できる関係をめざしています。伝えられる支持率の低下とこのことは、密接に関係していると思うのですがいかがでしょう。三島由紀夫の「男の価値は発言の一貫性である」という言葉までは持ち出さないとしても、です。
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