名前が出てこない!2014年06月11日 09時43分19秒

という経験、皆様お持ちですよね。私もそうなのですが、まだ、ひどいというほどではありません。不思議なのは、出てきにくい名前が決まっていて、それが親しさ、親密さとは関係がないように思えることです。いずれにしても、さまざまな文脈を通じて記憶に定着する一般名詞と比べて、固有名詞は記憶に負担をかけるもののようです。

いま述べたのは、特定の人に対してイメージも輪郭もはっきりしているが、名前だけが出てこない、という場合です。もうひとつのケースがある。それは、久しぶりに会った人がいて、なつかしい顔なのだが、名前が出てこない、という場合です。

この場合、しにくいけれどもなすべきことは、「お名前なんでしたっけ?」と尋ねることです。「○○です」と答えを聞くと、ああそうだ、と合点がゆき、その人にまつわる記憶や出来事がよみがえってくる。名前が出てこなければ、見たことのある顔だ、で終わりです。

どうやら人のイメージは、固有名詞という概念に司られて、記憶されているようなのです。名前を覚えているが顔を思い出せない、ということもたしかによくありますが、名前を覚えていれば、どんな人だったかの知識はある程度残っています。

顔を忘れやすいか名前を忘れやすいかには、個人差があるのかもしれません。私は、どちらかといえば顔を忘れやすいように思います。いずれにしろ、顔と名前が一致しなくなる状況が問題です。どういうことがどう進んでいつそういう状況に立ち至るのかが、気になります。

コメント

_ 物忘れ激しい波女 ― 2014年06月13日 23時15分38秒

我が身にとっても、切実な話題です。
最近は、初対面の方で、今後お会いすることもないだろうなと思える人の名前は、忘れても仕方ないと思うようになりました。同じ世代ならお互い様ですし、若い相手なら、許してくれるでしょう。

ただ、人の名前が覚えにくいというのは、習慣の違いも関係しているのではないでしょうか。
昔イギリスに住んでいたとき、パーティで観察していて、一つ思い当りました。
初対面の挨拶を交わし、少し話をし、適度に落ち着いたところで、今度は別の場所に移って、又新しい人と挨拶を交わし、話をする。
ここまでは、日本人も同じです。違うのは、一人の相手と短い話をするほんの5分くらいの間に、イギリス人は、会話の終わりに必ず相手の名前を繰り返すのです。
「音楽はどんな物がお好きですか」「よく聴くのはシューベルトです、ミスターA」たとえばどんな曲ですか」「室内楽か、歌曲が多いですね、ミスターA」・・・と言う具合に、何度か会話のやり取りしながら、その都度相手の名前を会話の区切りに挟み、繰り返している間に、自然に名前を覚えてしまうのです。
これは、覚えるためと言うより、こういう会話の仕方が、彼らの習慣なんだと思います。
日本人の会話にはそういう習慣がありません。
最初にお互い名乗り合ってからは、さんざん話をしても、途中で、区切りのような形で相手の名前を挟むことは、まずありません。
一度聞いただけで覚える場合もありますが、後から、今日初めて話した人、何という名前だったっけ、と思い返して、忘れていることはよくあります。
状況にも依りますが、別れ際に「もう一度お名前聞かせて」というのは、そう失礼ではないように思います。

_ 済みませんー波女 ― 2014年06月13日 23時22分57秒

I先生は、「名前が出てこない」ことについてお書きになったのに、ちょっとずれたコメントをしてしまいました。お詫びします。

_ I招聘教授 ― 2014年06月14日 00時52分30秒

波女さん、全然ずれていないですよ。おっしゃる通りで、外国人はそうしますね。ドイツで活躍している日本の音楽家が、完璧にそのような会話を身につけていたことを思い出します。日本人には、名前を直接言わないことをよしとする文化があるのかもしれません。また、考察のネタができました。

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