富山でバッハを語る(2) ― 2014年06月17日 23時43分20秒
「作品をして自ら語らしめる」ことが実現するためには、《マタイ受難曲》をできる限り「識る」ことが必要です。そこで、識っておくべき作品のポイントをいろいろ挙げ、テキストを読んだり、楽譜を見たり、絵を参照したり、鑑賞したりしながら、話を進めました。話すほどに時間は足りなくなるのですが、まあ一通り話せたので、会心の出来、と申し上げましょう。もちろんそれは、食いつくようにして聞いてくださった受講生のおかげです。
最後の20分は、指揮者の津田雄二郎さんと対談。私の著作を読んでくださってのご質問でしたが、私を善良だと思っておられるようでしたので、私は性悪説ですよ、と釘を刺しておきました。善良でないから芸術の研究をするわけで、これは皆様、ご了解の通りです。
それにしても、富山の方々の反応は、過去に経験したことのないほど熱いものでした。打ち上げではワインを置いているお店に鈴なりで詰めかけたのですが、そのマスターが大の古楽ファンで、奥様ともども、「古楽の楽しみ」を聞いておられるとか。ありがたいことですね。二次会にも行き、富山ならではのおいしいお魚をいただきました。
写真その1は、サインです。古い本をもってこられ、昔の写真を指さして「これ、本当に先生ですか」と言われる方が複数。すみません、歳を取ってしまいました。
打ち上げのお店では4つのテーブルを移動してお話ししました。初対面なのにどこでも話が盛り上がり、泣く泣く移動。エネルギーにあふれた合唱団です。
指揮者、津田雄二郎さんと。とてもいい写真のような。
写真には写っていませんが、合唱指揮者兼エヴァンゲリストとして団を牽引しておられる東福光晴さんのバッハへの打ち込みと見識はすばらしいもので、感銘を受けました。富山まで来てくださるとは思わなかった、とおっしゃる方が、大勢。とんでもないです。こういう機会があっての人生、と思っております。(続く)
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