今月の「古楽の楽しみ」~モテット2015年05月06日 23時59分21秒

連休が終わりましたね。もう終わりか、という気もしますが、最善を尽くして仕事をしましたので、悔いはありません。来週に迫ってきた「古楽の楽しみ」のご案内をいたします。

今回は、バッハのモテットを特集しました。合唱団の方々、よろしく!4日を満たすにはモテットの曲数が足りませんので、カンタータやオルガン曲を入れています。

11日(月)は、《霊は弱い私たちを》BWV226から入りました。ラミーン~聖トーマス教会聖歌隊の1951年録音と、コーイ~セッテ・ヴォーチの2009年の比較が冒頭です。まさに、隔世の感。

次は、近年真作と認定された《あなたを離しません》BWV補遺159bを、ヒリヤード・アンサンブルで。いい曲ですね!もう一つ、編曲という資格で真作の仲間入りをした《全地よ、主に向かって喜びの声をあげよ》BWV160補遺を、リリングで。もう一つの編曲《神に従ったあの人は失われたが》(義人滅ぶれども)も、リリングの指揮で聴きます。最後は、昨今偽作説の強い《主を讃えよ、すべての異邦人よ》BWV230を、ボニッツォーニ~カペラ・クラコヴィエンシスの2014年ライヴで。リフキン方式による、鮮度の高い演奏です。

12日(火)は、すばらしい《イエスよ、私の喜び》BWV227を、コーイ~セッテ・ヴォーチで。2009年のこの録音も、古楽様式による名演奏だと思います。その後に同じコラールによるオルガン曲を2曲聴き、最後に、コラールの共通するカンタータ第81番《イエスは眠っておられる》を置きました。演奏はガーディナー2000です。

13日(水)は、《来ませ、イエスよ、来ませ》BWV229を、クルト・トーマス~聖トーマス教会聖歌隊の1959年録音と、ボニッツォーニで比較。次にカンタータ第151番《甘い慰めよ、私のイエスが来られる》を「来る」つながりで置き(演奏はクイケン)、オルガン曲をはさんだ後、最近モテット枠に入っている《おおイエス・キリスト、私の命の光》BWV118で締めくくり。演奏はティモシー・ロバーツです。

14日(木)は、《恐れるな、私はあなたとともにいる》BWV228で開始。バッハ作品をボニッツォーニで聴いたあと、ヨハン・クリストフ・バッハ、ヨハン・ミヒャエル・バッハで、同じテキストのモテット、ないし同じ言葉で始まるモテットの比較をしました。演奏は、ヘレヴェッヘとネーヴェルです。そして、同じイエスの言葉がレチタティーヴォであらわれるカンタータ第153番《ご覧ください、神よ、私の敵が》をガーディナー2000の演奏ではさみ、最後に《主の御前に新しい歌を歌え》BWV225をコーイの演奏で聴いて、締めくくりとしました。このモテットは放送ですでに2回使っていますので、始まりとするよりは、むしろ、希望ある最後として使いたいと判断しました。

放送のためにいろいろなジャンルを勉強し直すことができ、嬉しく思っています。ジャンルとしては当時古かったモテットが、いま聴くと、じつに新しく思えます。

コメント

_ 久美 ― 2015年05月07日 10時57分51秒

連休中の翻訳の仕事、はかどったようで何よりですね。先生がさまざまな任務をこなしてゆかれる様子を、このブログで拝見するのが大好きです。自分には敷居の高い、縁遠いような事でもなぜかおもしろくて、楽しく読ませていただいています。〈予想の針は悲観的なほうに合わせて〉〈貧乏性〉な礒山先生、わたしと同じだ!と嬉しくなりましたが、先生がわたしと違うのは それでもやさぐれずに、最善を尽くして、いつもご自分のエネルギーにされているところです。見習います。
さて、バッハのモッテットですか。では「わたしには難しいかな?わかるのかな?」と悲観的にしておいてから、よろこびを倍増させたいと思います。

_ 優@1&4&6&7&14&32 ― 2015年05月07日 17時06分51秒

モテットのCDはいくつか持っていますが、Pter Kooij&Sette Vociの演奏は気に入ってる演奏の1つです。さらに最近、入手したのはMarcus Creed & Vocalconsort Berlinで、テキストの内容をしっかりふまえた素晴らしい演奏です。

_ I招聘教授 ― 2015年05月07日 23時25分48秒

そうですか、一応集めたのですが、それは知りませんでした。テキストを踏まえているというのは、なによりですね。

_ 縄文 雅use ― 2015年05月11日 07時39分02秒

 今朝の放送聞きました。BWV,225,159b,230は歌った事があるので、なお興味深かったです。残りの放送も楽しみにしています。

_ 新潟 ― 2015年05月13日 07時23分10秒

今朝(5月13日)、もうすぐオルガン曲が始まるかなと思っていたところ地震のニュースになりました。その後音楽に戻りましたが
再放送のコメントはありませんでした。ちょっと残念に思いました。
もう一度この放送はないものでしょうか?

_ 久美 ― 2015年05月13日 09時21分04秒

新潟さん、同感です。地震の被害は少なかったようで安心しましたが、放送を楽しんでいたわたしの心が動揺しました。先生がドイツ語と日本語の違いについてお話しされていたところでした。ぜひ、ちゃんと聞きたいです。来月、礒山先生がドイツに行かれたりしてお忙しいときなど、新しい番組作るのたいへんですからこれを再放送にしてはいかかでしょう。へへ、勝手ですね。
先のコメントでわたしったらモッテットって入力しちゃってます。恥ずかしいです。モッテットって思ってたわけじゃありません、モテットって知ってました(きっぱり)ただミスタッチなんです…言い訳が必死すぎますね(笑)

_ I招聘教授 ― 2015年05月13日 10時16分54秒

ご連絡ありがとうございます。そんなことがありましたか。地域の方、たいへんでしたね。再放送はさいぶ先に割り当て枠があると思うので、参考にします。久美さん、一応先々、予定があるんですよ。6月がパーセル(録音中)、7月初めがバッハの《パルティータ》、7月終わりがヘンデルのオペラという順序になります。

_ 久美 ― 2015年05月14日 09時35分04秒

ですよね。先々、予定、順序ですよね。浅はかな提案でした。じゃ、運がよければ再放送ということで昨日の中断部分はあきらめます(あっさり)
じつは心はもう7月パルティータのほうにもってゆかれていて自分の移り気にあきれております。鼓動が早鐘のように鳴ります。「鼻息が荒くなる」をちょっと気取って言ってみました。
ぜひ先生のおもしろい解題満載のぎゅうぎゅう詰めでお願いします。

_ I招聘教授 ― 2015年05月15日 00時27分49秒

久美さん、だんだん文章が変わってきましたね。私の影響だったらごめんなさい(笑)。

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