2017ドイツ滞在記(7)--大遠征の不運と幸運2017年06月30日 01時46分10秒

15日(木)は、8:00発ちで、バッハが生まれ育ったテューリンゲン地方へ大遠征。こうしたオプショナル・ツアーは今回初めて組みましたが、やや強行だったかもしれません。

アイゼナハに直行して、バッハ博物館へ。楽器のデモンストレーション(今回は鍵盤楽器)がここの魅力ですが、陳列されている古文書群がだいぶ充実したという印象があります。古い祈祷書や讃美歌集の展示は、私には興味深いところです。

そのまま、ヴァルトブルクへ。この日はバイエルン州が休日なのだそうで、ずいぶん人が多く、中に入るのはあきらめました。端に高い塔があるのですが(十字架が切れてしまいました、ごめんなさい)、そこに初めて登ってみました。80代の方々も、皆さん登られましたよ!

塔の上からは、なつかしいテューリンゲンの森が、さえぎるものなく見渡せました。その昔、歌合戦で集まって来た貴顕は、たいへんだったでしょうね。森の中に孤立したお城ですから。



昼食後ルターの家は割愛し、まっすぐアルンシュタットへ。ところが、途中で大渋滞が発生し、バスがほとんど進まなくなってしまったのです。時間はどんどん過ぎてゆく。夜コンサートに行く方もおられるので、焦る気持ちが募りました。

それでもなんとか渋滞を抜け出し、アルンシュタットへ。市庁舎のある広場の斜め向こうに、バッハが勤めた新教会(現・バッハ教会)があります。



ここに着いたのが、16時20分ぐらいだったでしょうか。教会は16時で閉じられていました。大遠征の甲斐がなく、みんながっかり。

皆さんがインフォーメーションで買い物などをされている時、私が1人離れて広場で眺めていると、なんと女性が1人、鍵を開けて教会に入っていくではありませんか!さっそくペトラさんに報告すると、ペトラさんは一目散に教会へ。10分間見学できることになった、と戻って来られました。みんな大喜び。

入ってみると、女性の代わりに上品な牧師さんが。そのご説明によると、とても高いところに設置されたオルガン(写真は撮りませんでした)は70%バッハ時代のもので、その下、見えないところに後代のヴェルクが2つある、とのこと。小さな教会ですが、すがすがしい空間でした。遅れたからこそ、牧師さんとお話できたわけですね。不運と幸運の関係が、よくわかります。


教会のプレート。バッハが1703-1707年、この神の家に最初のオルガニスト職を得て活動した、と書いてあります。18~22歳ですから、大学生の頃ですね。

旅はさらに、ほど近いドルンハイムへ。バッハがマリーア・バーバラ・バッハと結婚式を挙げたところです。私は初めて訪れましたが、気のせいかあるいは仕掛けなのか、なんとなく恋のムードが漂ってくるようでした。日本から式を挙げに来る方もおられるそうです。アルンシュタットで知り合ったバーバラとここで挙式しようと約束していて、新しい任地ミュールハウゼンから歩いてきたのだろう、というお話でした。歴史が身近になる瞬間です。


夜は多くの方と、ニコライ教会前の有名店で夕食を摂りました。

コメント

_ junjun ― 2017年06月30日 14時49分27秒

先生、ドイツの旅お疲れ様でした。旅行記楽しく拝見させていただいております。
このオプショナルツアーは、本当にすごい強行スケジュールですね。アイゼナハだけでもけっこう時間かかりますよね。個人で行くとヴァルトブルク城の下までのバスの本数も少ないし、ツアーのバスだからこそできるスケジュールなんだろうなぁと思いながら拝見しました。
旅行記の写真がすごく綺麗で、行ったことのない都市に「行ってみたいなぁ」と思わせてくれる写真ばかりです。先生のご滞在中、南西ドイツはめっちゃめちゃ暑かったのですが、そちらのほうは大丈夫でしたか?
この後、何か起きるのか??と少しワクワクしながら更新をドイツで日々待っております。

_ segawa ― 2017年06月30日 16時03分20秒

まだドイツにいらっしゃるかのような臨場感あふれる先生の旅行記、私も楽しみに拝読させていただいております☆皆様、お元気ですね!!先生の“ツキ”に纏わる実話が毎回面白いです!
2年前の旅行で、ドルンハイムのこの聖バルトロメオ教会管理者のノイマンさんに鍵を開けていただいて、幸運にもこちらのオルガンでゴルトベルクを少し弾かせていただいた感動を思い出しています!

_ I招聘教授 ― 2017年07月02日 22時56分23秒

junjunさん、寒暖の問題については、続編をお待ちください。segawaさん、貴女の行動力にはまったく驚かされます。その行動力が私にあったら、とうらやましく思いますが、私の場合は、ただ失敗が増えるだけかもしれませんね。

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