切れ味のいい文章2008年03月11日 22時55分37秒

本や雑誌を読んでいて、「ムム、できるな!」と思うことがあります。いつぞや、週刊文春の女性政治家に関する記事を読んでいたら、切れ味のいい文章力で前後にきわだった寄稿がありました。著者は、横田由美子さんという方。本屋で『ヒラリーをさがせ!』(文春新書)という本を見つけたので、さっそく購入しました。

これが、圧倒的に読ませる。日本の女性政治家に取材し、それぞれの人となりや活動の仕方、彼女たちを取り巻く状況について書いているわけですが、細かなところまで観察した上で、目に映る長所も短所も、遠慮なく言葉にする。そこまで書かれたくない、と思う人も多いことでしょう。しかし、けっして貶めてはいないのです。突っ込んで描くことを通じて、対象のたぐいまれな個性やその不思議な魅力が、しっかり伝わってくる。そして、長所の裏にある短所、短所の裏にある長所を、かならず見ている。私が感心するゆえんです。音楽の世界でもここまで書いたら面白いでしょうが、勇気と手腕と愛情が、相当なレベルで必要ですね。

あとがきに、日本の女性政治家には良い意味でも悪い意味でも権力に対する強い固執が感じられない、と書いてありました。アメリカのご本尊は、この点すごいですね。報道によると、対抗馬になりふりかまわぬネガティブ攻撃を仕掛け、相手の側に類似のことが見つかると、「恥を知れ」とキレたとか。こういう人が超大国の「最高司令官」になるのは、ずいぶん怖いことではないでしょうか。