伯爵夫人との対話2009年04月08日 13時17分44秒

スザンナがうっとりするような愛のアリアを歌い、それを物陰からフィガロが歯がみしながら見ています(=スザンナが伯爵との逢瀬を楽しみに歌っていると誤解)。スザンナが退場し、フィガロがよろよろと後を追うところを待ち受けて、インタビューは始まりました。最初はフィガロ、次にスザンナ。そして、伯爵夫人の登場になります。

私の台本は、当初、次のようになっていました。 礒山「奥方様、すべてはあなたの計画の通りに運んでいますね。第2幕ではひとり悲しんでいたあなたが、別人のように生き生きしておられます。」 大倉「主人に一度きつ~くお灸を据えておかないと。」 礒山「でも、フィガロまで巻き添えにしちゃうのは気の毒ですけど。」 大倉「男の人は結局おんなじです。」(きっぱり) 礒山「で、あなたがスザンナに化けて、デートに行かれるわけですか。」 大倉「主人がどんな口説き方をするのか、確かめてみます。楽しみ~。」 礒山「そんなに追い詰めちゃっていいんですか。殿様にもメンツがありますよ。」 大倉「でも心から謝ってくれれば、私、結局許しちゃうと思うわ。」

これで一度リハーサルをしたあと、修正案を作成。それは、「男の人は結局同じです」のあとに、「あの少年も同じですか、まだ子供ですが」というのを入れてケルビーノを紹介し、次に、「この私も同じでしょうか」と付け加える、というものです。そして、どのみち肯定になる答のどちらかに、「彼は(もしくはあなたは)その典型です」というのを入れてもらうことにしました。

大倉さんが、「その典型です」を私に振ってくることは、眼に見えています。それをどう受けるかが難題になりました。思いついたのは、ポケットからハンカチを出して汗を拭きながら、「恐れ入ります」と答える筋書き。ところが、その日は具合の悪いことに、ハンカチを忘れていたのです。ハンカチを買わなくては、と焦っているときに思いついたのが、女性から花柄のハンカチを借りてポケットに入れておくことでした。私が花柄のハンカチで汗を拭く。大倉さんがそれを見咎めて「そのハンカチ、女性用ですよ!」と指摘する。私が「アッ、しまった~~~!!」を叫ぶ、というオチです。

結構いい案のように思われましたが、考えざるを得なかったのは、新入生たちの私へのイメージが今後どうなるのか、ということでした。(まだ続く)