齢23年 ― 2009年04月20日 23時39分56秒
今月から、「楽しいクラシックの会」(通称たのくら)が、23年目に入りました。毎月1回やっているクラシック音楽の講義が23年も続くというのは、われながら信じられないことです。立川駅から歩いて15分近くかかる学習館(錦町)を場所としているだけに、なおさら。場所を提供している市の支援、さまざまな役職をボランティアでこなしている会員の方々の尽力たまもので、ありがたいかぎりです。
4月から来られた新しい会員の方が、「楽しいクラシックの会」という名前にしては内容がずいぶん専門的だ、とおっしゃっいました。たしかに名称と内容のある種のギャップは、私も当初から感じていたことです。なごやかに、冗談をまじえつつ進めているという意味では「楽しい」という看板に偽りがあるわけではないのですが、話している内容は、それなりの専門性を含んでいる。皆さんに「来てよかった」と思っていただこうと思うと、どうしても、そうなってしまうのです。
音楽は、どの芸術と比べても、説明に、専門的な語彙を必要とします。それをどのぐらい使って良いか、いけないかは、執筆や放送のおりに、いつも問題になることです。全然使わなければわかりやすいが、それでは、突っ込んだ話ができない。かといって、専門用語をその都度説明するためのスペースは用意されていない。以前この欄で楽譜の使用について書いたことが、専門用語についても当てはまるわけです。
私は、できることなら「専門的なことをわかりやすく」発信したい、と念願しています。しかしそのことは困難ですので、専門用語を知らなくても何となくわかる、という前提で、知識のある人に対する情報提示も、一種の確信犯で、行うようにしています。クラシック音楽は知識を深めることで面白さが増すのが売りですから、専門用語を使わない発信には、限界がある(と思う)。わかる人にその先を、という原則があればこその23年ではないかと思うのですが、いかがでしょう。
今期も、講義あり、鑑賞あり、実演あり、旅行ありの楽しい1年でありたいと思います。
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