結果との向き合い方2010年03月18日 23時34分41秒

しばらく更新の余裕がありませんでした。風邪をひきかかっていましたが、瀬戸際で回避できたようです。

17日、『魂のエヴァンゲリスト』の再校を返し、あとは索引のチェックをするのみとなりました。初校と再校の間でかなりまた充実させましたので、新しい情報をかなりよく取り入れた本になったと思います。手頃な文庫サイズで新しいバッハの本はないと思うので、完成を楽しみにしてます。4月12日発売です。

博士研究コンサート第2日、および大学院修了生による「新人演奏会」が終わりました。会心の出来になった人、体調不良に悩まされた人、運良く出演できた人、惜しくも出演を逃した人などさまざまですが、やっぱり広く妥当するのは、私のツキの理論です。上記のうち、たとえば「惜しくも出演を逃した人」は、ツキがたくさん残っているので、これから必ず、いいことがあります。思うような演奏ができなかった人も、うまくいけばそのままになってしまう問題点としっかり向き合えるわけなので、大きなチャンスをもらったとも、解釈できます。私としても、この人はこういう形で指導していこう、こういうところで力をつけさせようと、考えながら聴いているわけです。結果と一番上手に向き合う人が、一番大きなものを得るのだと思います。

賛辞若干。「バッハ パルティータ第6番~C.P.E.バッハのソナタ~ベートーヴェンの第30番」というホ短調=ホ長調プログラムで第2日のトリを取った和田紘平君(ピアノ)。目先の音を一生懸命弾くピアニストはたくさんいますが、この人の演奏は、つねに全体を見渡している。さすがシェンカーの研究家で、若くして大局観が磨かれているのです。脱帽ものの、格調高い演奏でした。

《新・山手線のうた-固有名によるエチュード第1番》を作曲された、中辻小百合さん。山と並べられた打楽器を奏者が叩き回るという光景は現代曲のコンサートでよく見るものですが、みんな同じように思える、ということはないでしょうか。違うんだとわかりました。才能のある人が書くと、美しく響くものですね。たいしたものです。

より熟した博士研究コンサートに比べて、新人演奏会には若い活力があふれていました。原田佳菜子さんのセンスのいい優雅なフルートが、とくに印象に残っています。