オンライン・ゲーム初体験2010年09月20日 22時24分34秒

休日は、ありがたいですね。休めます。土曜日は、まったく仕事をしませんでした。昨日は学会の委員会に費やしました。いつものことは、申し上げなくてもいいでしょう。まあ、簡単にまとめておきますか。

時刻に会場である芸大に着くと、大学は、試験の準備で入校禁止になっている。強引に入り、いつもの教室に行ってみると、誰もいない。さて別のところだったか、誰の携帯番号も知らないが、と思案していると、委員の久保田先生から電話。専修大学のそばにスペースを借りている、とのこと。これって、たいへん幸運だったのです。なぜなら、最近はスマートフォンしかもっていないのですが、この日は充電が足りないのを懸念して、前の携帯を、珍しく持参していたのです(別番号。スマートフォンの番号をご存じの方はほとんどいません)。タクシーに飛び乗り、渋滞、到着、平身低頭・・・もうやめますが、危ないところでした。全国から主要な先生の集まる会議で、会長がいないのではどうにもなりません。ふーっ。

いつも同じ話をするな、というお声が聞こえるので、別の話題です。不肖私、初めて、オンライン・ゲームというものをやってみました。今までどうしても、見ず知らずの人とチームを編成したり対戦したりというのに抵抗があり、面白いと聞いてはいましたが、挑戦していませんでした。

そのゲームというのは、「大航海時代オンライン」。好きだったシリーズがこちらに発展しているというので、休みをいいことに、入ってみました。そうしたら、かつてにくらべ、飛躍的に発展した世界になっている。都市は精妙なグラフィックで個性的に再現されており、広大な海を波を蹴立ててゆく航海は、快適そのものです。チャットが付随しているのでチーム編成が推奨されているのですが、ひとりで歩いていても、結構楽しめそう。ネット上にある大メモリ空間が世界になっているからです。休みも終わるので、熱中しすぎないようにしなければ。

9月のCD選2010年09月23日 09時48分45秒

昨日の夕刊で今月のCD選が出ましたので、こちらでも。

1位は、平尾雅子さんを中心としたメンバーによるディエゴ・オルティスの『レセルカーダ/典礼曲集』(ALM)です。新聞から引用します。「①は名著『変奏論』の訳業を終えた平尾とその仲間たちによる、16世紀スペインの音楽。行き届いた研究によって心に染みいるような美しさが醸し出され、すばらしい」。ぜひお聴きください。

DVDとしては、ユリア・フィッシャーのサン=サーンス ヴァイオリン協奏曲第3番/グリーグ ピアノ協奏曲(デッカ)を2位で取りました。CDのパガニーニもすばらしく、どちらにしようかと思ったのですが、別途お話しするような経緯で、DVDの方にしました。同じ人がヴァイオリンとピアノのソロを弾き、両方とも国際的なコンクールを取っている、というのはすごいですが、比べるとピアノが落ちるのは否めないところ。しかしヴァイオリンの造形力は突出しています。音楽に対してこれだけ確信をもって接することができるからこそ、複数の楽器に熟達できるのでしょう。

3位は、プレートルの「コンダクツ・ビゼー」です。最近のプレートル再評価はめざましく、熟年に勇気を与えるものだと思いますが、このビゼー曲集は1980年代のバンベルク響との録音が、新たに発掘されたもの。「洒落も高揚もある、魅力的な2枚組」(引用)で、《アルルの女》に感動しました。

転んで起きた《フーガの技法》2010年09月25日 23時42分29秒

「先生、それは1月にやりました!」 この声が教室に響いたとき、私は全身凍り付くような思いがしました。今日の朝日カルチャー横浜校の講座で《フーガの技法》の授業に入り、まずテキスト(『バロック音楽名曲鑑賞辞典』)を読んでおきましょう、と述べたときです。最近あちこちで《フーガの技法》の話をしていましたが、横浜でしたことは、すっかり忘れていました。

話をつないでいるうちに、記憶がよみがえってきました。そう、その日は教室が変更になり、別の部屋で講義したのです。全曲は長いので、いくつかのフーガを選んで詳しく勉強し、鑑賞したんだったなあ--と思い出してきて、私は顔面蒼白。なぜならば、それは今日やろうとしていたことと、まったく同じだったからです。声が挙がらなければ、そのまま同じことをやってしまうところでした(激汗)。

さあ、どうするか。私は「転んでもただでは起きない」ことをモットーとしていますので、何とか、新味を出すことを考えました。前回と違ったのは、入手して間もないファクシミリを持参していたことと、オルガンのCD(ヴァインベルガー演奏)をもっていたこと、そして、書見台が用意されていたことでした。この時点できわめて真剣になり、本気を出しました。いやいつも本気でやっているのですが、自分へのハードルを2倍高くした、ということです。

で、自筆譜と出版譜、新全集版楽譜などを交互に写し、オルガンのCDを流しながら、技法を克明に解説。普通は省いてしまう鏡のフーガやカノンまで解説し、最後は初版巻末のコラールの数象徴を論じて、締めくくりました。話しながら自分で気がついたこともいくつかあり、いい勉強をさせていただきました。

というわけで、興味のある方は、ファクシミリを買われるとよろしいでしょう。2008年にフィレンツェで出版されたもので、《フーガの技法》がフレスコバルディに絶大な影響を受けていることを論じた、詳しい解説(イタリア語)が付いています。自筆譜、その補遺、出版譜がセットになっている、お買い得版です。(Monumenta Musicae Revocata37、Studio per Edizioni Scelte、Sergio Vartolo編)

モンテヴェルディに没頭2010年09月26日 23時52分20秒

今、モンテヴェルディのオペラ《ポッペアの戴冠》の台本の翻訳に専念しています。今日も、1日やりました。

この作品の公演を年末に行うというのはご案内した通りですが、この作品、悪は栄えるともういうべき強烈なストーリーをもっていて、作者が何を表現したかったのかが、必ずしも明確ではありません。研究者にも、諸説がある。そこで自分なりの作品観を確立しなくてはならないわけですが、そのためには、翻訳で台本を読んでいるようではダメです。そこで、モンテヴェルディが省略した部分も含めてちゃんと訳そうと思い、取り組んでいるわけです。私、イタリア語は得意ではありませんが、できないわけではないので、内外の諸訳を参考にして、進めています。完成の暁には、作品論につなげていきたいと思います。

CD/DVDももちろん集めていますが、昨日買ってきた2000年ブリュッセル上演のCD(ガブリエル・ガッリード指揮)はいいですね。歌手は最上とは言えませんが、みごとな器楽編曲が行われ、生き生きしています。

それにしても、信じられないほどすばらしい作品。熱中しています。

10月は指揮者論2010年09月28日 11時22分09秒

10月早々のイベントは、「すざかバッハの会」の例会です(10月3日、長野電鉄須坂駅前シルキー・ホール、14:00から)。私のクラシック音楽講座の第5回で、タイトルは「指揮者の魔術--棒で音楽はどう変わるか」と付けました。

目次は、「鮮烈の指揮者体験」~「指揮の始まり」~「指揮者で音楽は変わる?」~「音楽のどこが変わる?」~「見栄えの問題」~「リーダーシップの問題」~「指揮者の類型学(故人)」~「指揮者の類型学(現役)」~「指揮者の災い」 というものです。

ほぼ同じ内容を、10月31日(日)13:30から、「楽しいクラシックの会」でお話しします(立川錦町学習館)。興味のある方、お出かけください。

朝日カルチャー横浜校は、10月から新企画。先日出版した『バッハ=魂のエヴァンゲリスト』をテキストに、息長く、バッハを論じます。第4土曜日の13:00~15:00なので、第1回は23日になります。こちらもよろしく。