ワーグナー&モンテヴェルディ2010年10月17日 10時37分09秒

16日の土曜日は、琵琶湖ホールに、《トリスタンとイゾルデ》を見に行きました(沼尻竜典指揮、大阪センチュリー交響楽団)。ロビーから直接琵琶湖の景観が得られる、すばらしいロケーションのオペラ・ハウスです。どうやら各地からワーグナー好きが集まったようで、知り合いの多さにびっくりしました(うっかり橋下知事に声をかけそうになった)。

批評の場ではないので細かいことは申し上げませんが、率直のところ第2幕までは、いろいろなことが気になって聴いていました。しかし第3幕に入り急速にまとまってきて、そうそう望めないぐらいの立派な公演になったと思います。メゾ・ソプラノからの挑戦が注目された小山由美さん、本当のソプラノの声が出ていましたし、持ち前の品格で、堂々たるイゾルデ。松位浩さん(マルケ王)の朗々とした低音、加納悦子さん(ブランゲーネ)の密度高い歌唱もたいしたものでした。

このところまったく時間がなく、モンテヴェルディの研究が進められなかったものですから、エレン・ローザンドの本を携行して、道中読み進めました。後期オペラに関するきわめて詳細な研究で、参考になります。1ヶ月ぐらい休みが欲しいなあ、というのが実感。

モンテヴェルディ研究と言えば、ありな書房の「オペラのイコノロジー」シリーズに入っている山西龍郎さんの《オルフェオ》に関する著作はすばらしいですね。音楽はもちろん美術、楽器に関する知識が満載され、文明論的な切り口もあざやかで、すっかり感心しました。こんなに立派な研究を今まで知らずにいて、申し訳ないと思います。