明確な教育理念2011年01月19日 10時52分52秒

前期、後期と通った聖心女子大学の授業が、今日で終わりました。後期はバッハをテーマとして進め、今日はバッハの晩年と死、受容について話しました。鑑賞は、《ゴルトベルク変奏曲》、《ロ短調ミサ曲》、ジャズ化されたバッハです。

これほど気持よくできた授業も、そうありません。とにかく、学生たちが勉強熱心。授業態度もよく、リアクションペーパーを使っての感想や質問も、毎回、どんどん寄せてくれました。終了後、サインを求めてくる学生さんの顔を見ると、いい表情なのですね。高いものを求めるひたむきさが窺えるのです。ああ、大事なことが通じる人たちなんだなあと思って、嬉しくなります。

つまり私は、聖心女子大学という大学のすばらしさに、感嘆しているのです。校風に統一性があり、大学の教育理念が、すみずみまで浸透している。どんな学生を育てたいかがはっきりしていて、そのための指導がしっかり行われている、という感じなのです。もちろん、学生によって合う合わないが生じる可能性は、考えられます。でも私は、私学はこれでいいと思う。建学の理念を重んじつつこのように伝統を作っていけば、「聖心を出た学生さんなら」という信用が、社会に作られてゆく。ものわかりよくやっているだけでは、それは不可能です。

解放感と一抹の(ほんのわずかな)寂しさを感じながら美しいキャンパスを横切り、本務校に向かいました。聖心の皆さん、ありがとうございました。