つい人気投票2011年06月18日 23時57分27秒

今日は「たのくら」の日。須坂で出した「テノール昔と今」のネタを再使用し、テノール三昧の2時間となりました。

私は、テノールへの熱狂から音楽の道に入ったようなものです。講座では、テノールとは、という基礎論のあと、私が最初に熱中した2人のテノール歌手を扱い、その個性を対比した上で、それ以前のベル・カントの歌い手たちと、その後の有名どころとを比較する流れにしました。最初に熱中した2人というのは、NHKのイタリア歌劇団でセンセーションを巻き起こしていたデル・モナコと、イタリア民謡のレコードで人気を博していたディ・ステーファノです。

あと7人を加えて、「今日の9大テノール」としました。「今日の」というのは、お店のセールと同じで、使える音源なり映像なりが集まっていることなどを優先し、恒久的なランクではない、ということを示す意味があります。残りの7人は誰だ、とお訊きになりますよね。言いたくありません!これはどうした、あれはいないじゃないか、なぜこれが入るのだ、とクレームが殺到することが、眼に見えるからです。あ、がまんしてくださるのですか。それなら申し上げます(笑)。

「以前」からは、カルーソー、ジーリ、スキーパ。「以後」からは、ヴンダーリヒ、パヴァロッティ、ドミンゴ、フローレス。ドイツ系、北欧系のテノールは何人か頭をかすめましたが、イタリア系の人がずらりと並ぶとやはり入れるのに違和感があり、本場の人たちからも一目置かれているヴンダーリヒのみとしました。若手はフローレスを代表としましたが、とくに根拠はありません。

それぞれを2つぐらいの演奏で解説してゆくのですから、本当のところは、もちろんわかりません。それでも、アンコール1曲やりましょう、誰にしましょうか、という人気投票をやってしまうのが、私のダメなところです。選ぶ音源によって有利不利がありますし、私の紹介の仕方も心理的に影響しているはずなので、単なる遊びだと念を押した上で、結果をご紹介します。

須坂では、ディ・ステーファノとヴンダーリヒが同票でトップ。あとは票が分かれ、スキーパとフローレスがゼロ。立川ではジーリがトップ、2位がパヴァロッティで、ゼロはスキーパとデル・モナコ、ドミンゴ(!)でした。(ドミンゴは1981年の《アンドレア・シェニエ》を使いました。これ自体はすばらしいと思います。)

私自身はと言いますと、音量は必要最低限、むしろ音色と味わいを重視する、という最近の価値観から、メザ・ヴォーチェの表現を重んじる歌手に魅力を感じます。その意味で、昔のテノールの良さに目を開かれているわけですが、それには、下降音型に必ずかかるポルタメントに、慣れる必要があるように思います。昔の歌い手もいいけど、古めかしく思えて、と言う方がおられるのは、多分ここに原因があります。

終了後、知人のコンサートを覗き、帰宅後、明日の講演の準備をしました。演奏を楽しんでいただければと思います。

コメント

_ ダヴィデヒデ ― 2011年06月24日 00時51分16秒

ビヨルリンクと山路芳久氏をリストに加えて頂きたいです。

_ I教授 ― 2011年06月25日 00時23分04秒

ビョルリンクは相当考えて見送ったんですけどね。山路さんも入りますか。映像、あるのかな。

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