今週の「古楽の楽しみ」2012年01月30日 12時22分10秒

ご案内しようと思っているうちに日が経ち、もう放送が始まってしまいました。今週の月曜日から、私の担当で、「バッハとその周辺」という特集をお送りしています。

月曜日と火曜日が、偽作の特集。今朝は、第142番(作曲者不詳)、第141番(テレマン作曲)、第15番(ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ作曲)の3つのカンタータを聴きました。第142番は学生の頃レーデルのレコード(《マニフィカト》とのカップリング)を聴き、いい曲だなあと思っていたのですが、偽作ということでその後まったく聴くことができず、ようやくCDを見つけて放送にもちこみました。素朴ながら、やはりとても美しい曲だと思いました。

第15番は、古いバッハの本では「最初のカンタータ」とされているものです。これもまったく聴く機会がありませんでしたが、今回調達。壮大な復活祭カンタータで、かなりの曲です。

31日(火)は、オルガンのプレリュードとフーガ(BWV571、576)を両枠に、第53番(ホフマン作曲?)とマニフィカト(ホフマン)、第217番(作曲者不詳)を並べました。鐘の音がじっさいに響く第53番がチャーミングですし、まず聴く機会のない第217番も、悪くないと思います。

2月1日(水)は、フリーデマン・バッハのハレ時代のカンタータ2曲を、オルガン・コラールをはさんで。思いの外立派な曲で、長男の頼りないイメージを見直します。抒情的なデュエットの美しさが、なかなか。研究上でも脚光を浴びている領域です。

2日(木)は、ちょうどマリアの浄めの祝日なので、バッハのカンタータ第82番を出し、シメオン老人の辞世のコラールに基づく作品をいくつか(ブクステフーデとクリスティアン・ヴォルフのカンタータ、バッハのオルガン曲など)を並べました。前後に抜きん出てしまったのは仕方がないですね。82番はメルテンスとクイケンのものを選びましたが、メルテンスが自分も1つの古楽器のようになり、楽器とコラボレーションをしながら歌っているさまには、たいへん感心しました。これぞ古楽です。

3日(金)は、バッハの弟子で片腕のような存在でもあったヨハン・ルートヴィヒ・クレープスのオルガン曲とトリオを特集しました。「偉大なる小川(バッハ)から採れたのは一匹の蟹(クレープス)だけだった」という、この人の才能を評価するジョークがあります。同じ曲は2回使わない、という趣旨でやっていますが、クレープスを使ったのは初めてです。

以上、よろしくお願いします。