今月のCD2012年03月30日 23時26分11秒

いつもだいたい、14日ぐらいに新聞の締め切りが来ます。その時点までに集まっている新譜の中から3枚選ぶのですが、今月は候補がたいへん少なく(締め切り以降にかなり来ました)、選択に困りました。そこで、随時手に入れた輸入盤の中から3点を紹介する形にさせていただきました。

ベルギー在住のオルガニスト国分桃代さんが、「バッハとホ短調」「バッハとハ短調」というCD出しています(メロフォン)。トリオ・ソナタ6曲を各曲に適した異なったオルガンで演奏するというだけで企画に惹きつけられますが、選ばれたトリオ・ソナタの「調性」を看板にして近親調の作品をプログラミングするという着想に、舌を巻いてしまいます。1位にしたのは「ハ短調」の方で、曲目はトリオ・ソナタの第2番、パッサカリア、ト短調のファンタジーとフーガ、変ホ長調の《装いせよ、わが魂》など。ストラスブールのトマ・オルガンを用いた、味わい深い演奏です。

第2位に入れたのは、「ウィーン流儀で~ハプルブルク宮廷の音楽」と題する1枚(CORO)。演奏はル・ジャルダン・スクレです。17世紀を中心に18世紀始めまでの当地の音楽を集めているのですが(作曲家はレオポルト1世、カヴァッリ、ドラーギ、シェンク、フローベルガー、ケルル、シュメルツァー、サルトリオ、フックスなど)、ことごとく短調で、詠嘆に満ちた作品ばかり。栄華を誇る宮廷でこういう音楽が好まれていたとは驚きで、「時代」を実感します。5月の放送に出すつもりです。

震災復興を支援するチャリティ・コンサートが、世界で行われました。「仙台のための音楽~ベルリン皇帝教会における慈善演奏会」というCDを手にいれたので、3位としてご紹介します(primTON)。 沼尻竜典さんの指揮で、樫本大進さんらベルリン在住の音楽家が大集合している、温かい支援の記録です。