福の神2012年03月11日 23時41分57秒

9日(金)。同期の友人である西村清和東大教授の最終講義。美学のなつかしい仲間たちが集まり、旧交を温めました。

すごいなあと思ったのは、この最終講義が、美学の基礎概念に関するこれからの研究に対して見取り図を描く、学術性の高いものであったことです。音楽のような市場がありませんから、美学の友人たちはみな学問本位で、本当によく勉強します。しかし印象は、昔のままですね。大学院でその秀才ぶりをまぶしく眺めていた頃の彼と今の彼はぴったり重なって、まったく違和感がないのです。

10日(土)。「たのくら」今月のテーマは、バッハのオルガン音楽。冒頭に、古い友人の酒井多賀志さんが送ってくれた「響きわたる音の神殿 パイプオルガン」というDVDを見ました。楽器の構造や仕組みがよくわかる映像で、なるほどそうか、と思うところが随所に。スタジオ・リリックというところから、4,200円で発売されています。

別室でお昼を取りながら、来年度(26年目)のテーマ選び。「ぜひワーグナーを」と提案される方があり、同調者もおられましたので、4月からはワーグナーの作品を、順を追って進めることにしました。2013年は生誕200年ですからタイムリーでもあります。ワーグナーは好き嫌いが分かれる対象なので、私からはあえて提案しないのですが、ご提案いただければ、喜んでやります。

午後は、3月恒例の「錦まつり」。空き時間に散歩をし、コーヒーを飲みながらトークを考えるのがいつものやり方です。錦学習館と立川駅の中ほどに「一六珈琲店」という自家焙煎のお店があり、よりどりみどりの世界のコーヒーから、ルアンダのものを選んでみました。これがことのほかおいしく、すっかりいい気分に。帰途、待てよ、これは話がうますぎる、進行でミスを犯さないように気を付けなければ、という思いが兆しました。「ツキの理論」の再確認です。

コンサートは長らく続けている楽器シリーズで、今年はトロンボーン。名手箱山芳樹先生と国立音大の学生3人による四重奏でした。ところが、前半の中心となるテレマンのコンチェルトを私が飛ばしてしまい。次の2曲を案内する大失態。上手に対応してはいただきましたが、やっぱり!の結果になりました。バス・トロンボーンは女性でしたので珍しいのかなと思い、伺ってみると、4年生は7人全員が女性とのこと。そういう時代なのですね。

会場からの帰り、「一六珈琲店」を通ると、鈴なりの盛況です。よく見ると、詰めかけているのはたのくらの会員。どうやら私、お店を繁盛させる福の神になったようです。