ドイツ旅行記(7)--ザクセンのスイス?2012年06月23日 23時58分42秒

12日(火)は、すざかバッハの会の方々が、日本に帰られる日。飛行機は夕方ですので、ドレスデン近郊の景勝地、「ザクセンのスイス」を訪れました。

こういう景勝地があることが、不思議でなりませんでした。なぜというに、ドレスデンでは、エルベ川は悠然たる大河で、大きな船が行き来しています。エルベの河口はドイツの西北、ハンブルクの近郊(北海)ですから、中部ドイツ東端のドレスデンでもなお大河だということが、日本人の感覚では信じられない。それぐらい、ドイツは平らな、大平原であるわけです。

であるからには、少しぐらい上流(チェコ方面)に行ったからといって、切り立った急流になるとは思えない。いったいどうなっているんだろう、というのが訪問のきっかけの1つでした。

わかったのは、川はなお悠然と流れているが、周囲の山が侵食された渓谷のごとき地形になるということ。エレベーターで高いところに登ることもできたようですが、ちょっと情報不足で、バート・シャンダウという、のどかな保養地を訪れるのみとなりました。まあ、連日強行の旅行者としては、ほっとできるひとときではありました。


ドレスデンに戻り、帰国の方々と別れて、ひとりに。寂しさと解放感の交じり合う、奇妙な気分になりました。これからの予定は、バッハ関連のスポットを、少しでも見て回ること。バッハが居住したところはすべて訪れましたが、間接的に関係をもった、伝記に必ず登場する土地で、行っていないところがまだまだあるのです。世俗カンタータに関する仕事が入りそうなので、ゆかりのところは見ておかなくてはなりません。だいたいの土地勘をつかんでおくだけでも、ずいぶん違うのです。

もう夕方ですから、手近なところがいい。そこで、バッハが《楽しきWiederauよ》というカンタータを寄せた離宮を訪れることにしました。バッハ関連の名所案内は日本語でも複数出ていますが、あいにく持参しなかったので、マイナーなところは、情報がありません。わずかの手がかりで判断すると、目的地は、ライプツィヒからツァイツに向かうローカル列車を、ペーガウというところで降りると近そう。ともあれ行ってみようと、ライプツィヒからその列車に乗りました。地図ももたずホテルのアテもない、ぶっつけの旅です。

ペーガウで降りてみると、駅の周囲はがらんとして、店は1軒もない。「旧東」の地域らしい荒廃した感じが、やはりあります。町の中心に向かっての道をずっと歩きましたが、街並みがだんだん整然としてくるにもかかわらず、お店のたぐいがまったくない。これで泊まるところがあるのだろうかと不安になり、よほど引き返そうかと思いました。しかしせっかくここまで来たのだからと、心を決めて前進。20分ほど歩いたところで、堂々たる教会を配した広場に出ました。


広場の周辺に、ありましたよ、レストランとペンションを兼ねたお店が。部屋を確保してほっとし、夕食。どちらかというと安っぽいお店なのに、ビールはとてもおいしかった。ここまで来る日本人はそういないよなあ、と思いつつ、満足と不安の入り交じる気持ちで床につきました。