今月の「古楽の楽しみ」2013年10月04日 18時47分13秒

バッハの無伴奏チェロ組曲をリレー演奏で取り上げるにあたり、モダン・チェロ、バロック・チェロ、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラに、メインを振り分けました。そこに聴き比べを入れていくのですが、第5番、第6番は1日1曲でしたので、潤沢に比較することができました。

7日(月)は、第1番全曲がケラス(モダン)。プレリュードを、フルニエ、ビルスマ(旧録音)と比較します。第2番は全曲が鈴木秀美(バロック)、プレリュードの比較がマイスキー(モダン)です。

8日(火)は、第3番全曲をヨー・ヨー・マ(モダン)で、第4番全曲を寺神戸亮(スパッラ)で聴きます。少ない残り時間で、第4番のサラバンドを、ロストロポーヴィチの若い頃のライヴで比較します。

9日(水)は第5番。ビルスマがモダン仕様のチェロを弾いた再録音をメインに使いました。第5番の場合、バッハの楽譜をきちんと弾くためには高音弦をスコルダトゥーラすることが欠かせません。そうなると、ほとんどのモダン演奏は採用できず、比較はウィスペルウェイ(ヴェルサイユ・ピッチ使用)、リンドベルイ(リュート編曲)、ディールティエンスのリレーで全曲という形になりました。ディールティエンスを使ったのは、サラバンドのアーティキュレーションが独特で、なるほどそれもありかな、と思ったからです。

10日(木)の第6番は、時間の調整に苦労しました。結果として、全曲演奏はクイケン(スパッラ)、比較のプレリュードがコセ(五弦のバロック・チェロ)、サラバンドがリプキン(モダン)、ガヴォットとジーグがガイヤール(五弦のバロック)となりました。ものすごく多様で、お好みも分かれそうです。どうぞお楽しみください。

コメント

_ はかせ ― 2013年10月07日 16時26分44秒

ご無沙汰しています。第5番のスコルダトゥーラについて伺いたいのですが。モダン楽器でスコルダトゥーラ(一番線をAではなくGで調弦する)奏者は少ないのでしょうか?バロック・チェロならスコルダトゥーラ、モダン・チェロなら普通調弦という組み合わせが多いということですか?私はモダン・チェロで金属弦ですが、スコルダトゥーラで弾きますし、それで問題は感じませんが。暗譜は大変ですが。

_ アロハ先生 ― 2013年10月08日 08時14分29秒

6日の松本バッハの会もありがとうございました。
ここで書き込む内容では無いかもしれませんが、ロ短調のDVDで気になる物があるのでお知らせしようと思いました。
そのDVDとは2011年のフォンフロア・フェスティバルの模様を記録した物です。
指揮はガンバ奏者としても有名なサヴァール、オケもピリオド楽器です。
そのうえ、テノールソロには櫻田亮さんの姿も…
ただ、このDVDはPAL方式だというのでPCでしか再生できないのが難点です。
それでも演奏は素晴らしく、リハーサルの映像を含むDVDと全曲を収録したCDも付いているという何とも豪華なものです。
ここで改めて書き込んだのは、Domine Deusのフルートパートをソロではなく2人で演奏していることなど、先生の解説されていた事が見事に実現されていたためです。
最近の私の愛聴盤でもありますが、先生がお持ちでないようでしたら参考になさってください。

_ I招聘教授 ― 2013年10月09日 09時05分58秒

お返事遅くなり申し訳ありません。はかせさん、お久しぶりです。スコルダトゥーラの件、なさる人はなさるのですね。しないといくつかの和音から音を抜く必要が生じるのですが、モダンの人は、普通抜いて弾いています。ロストロポーヴィチの演奏で抜かれる音がはっきり聞こえるのに驚き、鈴木秀美さんにご注進したところ、アルペッジョの中ではなく、後で弾き直しているのだとのこと。広いホールに朗々と響かせるべく練習している現代のチェリストには、高音弦だけ全音も下げるという選択肢は採りにくいのでしょう。青木十朗さんのCDのライナーには、両方試みて、スコルダなしを選んだ、と書いてありました。

_ I招聘教授 ― 2013年10月09日 09時11分29秒

アロハ先生、耳寄りな情報、ありがとうございます。ピリオド楽器による《ロ短調ミサ曲》、待望の映像ですね。今日タワーレコードに行きますので、探してみます。来月の放送で出す管弦楽組曲の第2番(初めて!)、今日録音しますが、出たばかりのサヴァールを使います。偶然でした。

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