ドイツ2016淡々(3)~不思議な声 ― 2016年06月18日 17時26分14秒
朝日サンツァーズのバッハ詣で旅行3日目(6月16日)。この日が前半の山場です。ベルリンを出てヴィッテンベルクを観光し、ライプツィヒ入り。夜は聖トーマス教会で、ガーディナー指揮の《マタイ受難曲》を鑑賞するのです。
覚えている方もおられるでしょうが、去年の最大のトラブルは、ヴィッテンベルクで起こりました。一応振り返っておくと、観光後ライプツィヒに戻ろうと列車に乗ったところ、反対のベルリンに行ってしまった。動転してチケットを買いに走ったら、ヴィッテンベルクまで買えばいいところを、ライプツィヒまで買ってしまった。その上乗った列車が事故により迂回して大幅に遅れ、夜のコンサートに間に合うかどうか、時計とにらめっこになった--。今考えても冷や汗の出る失態を重ねたのが、去年でした。
というわけで鬼門の、ルター都市ヴィッテンベルク。今年は幸い爽やかな好天に恵まれ、失態も犯さずに、気持ちの良い散策ができました。来年の記念イヤーに向けての準備も進んでいます。去年閉まっていた聖マリア市教会(写真)にも入って、クラナッハの宗教画を堪能しました。
ライプツィヒに着き、いよいよコンサート時間(夜8時開始)が近づいてきました。ところが、その間に食べたものがいけなかったようで、気分がとても悪くなってしまったのです。
ぎりぎりまでホテルで休んで駆けつけると、まだ聴衆が長蛇の列。同業の加藤浩子さんと並ぶことになったのですが、加藤さんに「話しかけないでください」と言ってしまうほど(ごめんなさい!)、本当に気分が悪かった。トイレに駆け込む危険があったのでよほど前半を休もうかと思いましたが、チケットは無駄にできませんから、なんとかがんばろう、と思い定めました。
行かれた方はご存じでしょうが、聖トーマス教会は、席がとてもわかりにくいのです。すでに演奏者が待機している中をようやく探し当て、手前のお二人が立って道を作ってくださいました。ところが。その時。私に、不思議な声が響いてきたのです。
その声は、「汝、階段を登れ。かつてこの教会でバッハが成し遂げたことを、つぶさに見届けよ。今日、ガーディナーがなすことを見守るがよい」と言うかのようでした(後付け)。
言われるままに上がってゆくと、目前に演奏者席が開け、イングリッシュ・バロック・ソロイスツの面々が布陣している。まもなく拍手に送られて、聖トーマス教会聖歌隊の少年たちが上がってきました。続いて、モンテヴェルディ合唱団。彼らは私の右側に立ち、左前方に、エヴァンゲリスト役のジェイムズ・ギルクリスト。やがてガーディナーが長身をあらわして左側へと進み、会場に一礼しました。(続く)
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