見えない力2015年01月30日 09時03分25秒

すざか(須坂)バッハの会には、2つの楽しみが付随しています。ひとつは、会場に行く前の昼食。長野駅の近くにはいいランチのお店がいくつもあるので、まさお君と待ち合わせて食べるのが楽しみです。

もうひとつは、会終了後、スタッフとする会食。長野に「ジョイア」というとても洗練されたお店があり、そこでワインを飲みながら疲れやすめをするのが楽しみでした。

第2パラグラフが過去形になっているのは、このお店が1月で閉まる、と聞いたからです。いつも賑わっているように見えましたし、申し分のないクォリティでしたから、信じられません。

この報告を読まれる方がどう思われるかは、わかっています。通った人間に問題があるのではないか、ということですよね。ゴローザ・ショックが癒えないところに入ってきたニュースなので、さすがの私も、自分に見えない力があることを否定できないような気がしてきました。

「たのくら」でアンプが故障したお話をしましたよね。症状の始まりは、右側のスピーカーの音が出にくくなる、ということでした。これ、じつは、家で起こっていたトラブルと同じだったのです。その時、レストランのみならずオーディオの分野でも・・、という思いが脳裡をよぎりました。

オーディオの音質が目に見えて(?)劣化してきたので、コントロールアンプ、パワーアンプともオーバーホールに出し、ついでにスピーカーも修理を依頼しました。私の再生装置は、若い頃『レコード芸術』誌に連載し安く譲っていただいた高級品を基にしていますので、同じ音を出そうとすると、ずいぶんお金がかかってしまいます。どうなりますやら。

すざかバッハの会の今年度企画については、近々ご案内いたします。

本領発揮?2014年10月08日 23時50分05秒

神社やお寺に行くとお賽銭をあげてお参りしますが、お願いごとはいつも同じ。「私のまわりの人たちがみんな幸せになりますように」と祈っています。と言ったらびっくりした方がおられましたが、もう自分の幸運を祈るような歳でもありませんので、個別的な願い事はしないでおります。

それなら、私は福の神か。そうではないですよね。疫病神と言われてきた歴史があります。何より、飲食関係においてです。おいしいお店を探し、本ブログでも紹介していますが、貴兄が通うとつぶれるというジンクスがある以上、それはまずいんじゃないの、と真顔で忠告してくださる方もある状況でした。

ここまで書いたことと、これから書くことの間に因果関係があるのかないのか。それはわかりません。淡々とご報告します。渋谷のイタリアン、「ラ・ゴローザ」が、この11月で閉店になりました。

本当に、通ったお店です。おいしい。高くない。サービスがきめ細かい。空間が心地よい。静かで話がしやすい。いいことずくめで、いろいろな方をお連れし、皆さん、絶賛でした。閉店だとお話しすると、皆さん揃って、それは礒山が悪い、と非難囂々。でも私が通ったから、その方も行かれたんじゃないかと・・・。

残る時間はわずかですが、ぜひ行ってあげてください。打ち合わせには最適のところでしたので、別のお店を探さなくてはなりません。次の犠牲者は・・。何か、吸血鬼のような気持ちになってきました。

長野県周遊(4)--信濃境2014年09月02日 16時53分26秒

27日(水)。松本駅から甲府行きの鈍行に乗ったとき、どこで降りるか、まだ決めていませんでした。とにかく、どこか降りたことのない駅で降りよう、という無計画な乗車です。

降りようと思っては思いとどまること、数回。標高がもっとも高い富士見の次は長野県最後の駅、信濃境。次は山梨県に入り、小淵沢になります。そこで、どことなく旅愁を誘う信濃境駅で下車しました。降りた人は、2人だけ。天気は曇りで、ときおりパラッと雨が落ちてきます。


でもここが、一番良かった。静かで、空気がおいしくて。有名な観光地より、こうした落ち着いた田舎が、私、好きです。


釜無川の谷を少しくだって、井戸尻遺跡へ。縄文の住居跡、水車小屋、湿原が、こぢんまりとまとまっていました。


そこに咲く、純白の蓮の花。ちょっと感動しましたね。


次の列車まで時間があったので、駅前の食堂で砂肝とビール。最近テレビ番組のロケ地となり、信濃境も少し知られるようになった、とのことでした。高尾行きの鈍行を塩山で下車し、知る人ぞ知る「平和園」でラーメン。独特の旨みのある、おいしいラーメンでした。夏の終わりです。

ここは飲めます!2014年07月07日 23時59分11秒

大阪のおいしいお店を開発中。いずみホールからほど遠くないところにとてもいいお店を見つけたので、「ここは隠れ家にしておこう」という声を振り切って、ご紹介します。「Vivace」という音楽ファンにはうきうきするような名前をもつ、イタリアンのお店です。場所は京橋駅のそば、京阪国道沿いです。

まず、雰囲気がいい。お連れした方は皆さん、京橋(=コテコテの大阪)にこんなに洗練されたお店があるのか、とおっしゃいます。長身で感じのよい青年マスターと、愛嬌のある店員さんたちのもてなしも満点。特筆すべきは、選び抜かれたワインがとても安い値段で提供されていることです。カウンターもあり、深夜まで飲めますから、いずみホールのコンサート帰りには最高ではないかと思います。今回のロトさんがらみでは、二晩続けて行ってしまいました。


これはVivaceではないですよ。大阪から環状線で一駅、天満です。ここ大阪やねん、という感じのお店が密集している一帯。駅のすぐそばに「グリーンカレー専門店」というお店を見つけ、入ってみました。「メティ」というお店で、マスコミにも紹介されているようです。とてもおいしかったので、ご紹介しておきます。

書き忘れたこと+幸福な体験2013年09月15日 10時37分59秒

そうそう、書き忘れたことをひとつ。

いずみホールでのコンサートの後、演奏者、マネージャー、なぜかまさお君、の4人で、大阪は北新地に、打ち上げにでかけました。いつぞや、大阪で一番おいしいものを食べられるところ、とご紹介した、カジュアル・スナックのMMMです。快活に迎えてくれる、気持ちのいいお店です。

私がブログで紹介したことにママさんがとても感謝されていて、訪れるたびに、「美人のママさんがすてきだ」と書いてくれて嬉しかった、とおっしゃいます。「飲食」のカテゴリで取り上げましたので、ママさんにはまったく触れなかったのですが、何かの錯覚で、そう思われているようなのです。

この日も、フツーなようでいて凝っている、B級のようでとびきりの珍味をいただきました。レストランとしても使える、本当にいいお店です。お薦めします。

あ、書き忘れるところでした。ママさんは年も若く快活な、フランクでキュートな、とてもすてきな方です。お薦めします。

9月上旬には、サントリー芸術財団のサマーフェルティバルが開催されていました。今年から始まった「ザ・プロデューサー・シリーズ」、トップバッターは池辺晋一郎さんで、さすがに多彩な企画を提供されました。私は2つしか聴けず申し訳なかったのですが、6日(金)にブルーローズで披露された〈インプロヴィゼーション×ダンス〉は興味深かったですね。

邦楽、民俗音楽、ジャズなど世界の多分野からつわもののソリストが集合し、小一時間に及ぶ合同の即興演奏を行い、後半(「大自然―畏れと共生、そして美」)ではそこにダンスがつく。乗せられているうちに、音楽・芸術を通じての世界の協調と和合が、ひとしきり実現したような思いにとらわれました。幸福な体験です。

楽しいお酒2013年07月25日 12時01分47秒

24日(水)は、難渋していたモンテヴェルディの翻訳をやっと終え(コンサートに出すには翻訳の苦労を体験する必要があると改めて痛感)、芸大《ヨハネ受難曲》ゼミの飲み会へ出かけました。

既報の通り、このゼミにおける学生の真剣な勉強ぶりと発表のレベルはすばらしく、ありがたい相互信頼が出来上がっています。それだけに楽しく有益な飲み会となり、後期に向けて、いい準備ができました。

飲み会の成功に不可欠なのは、お店の良さです。この日訪れたのは、上野駅入谷口の近くにあるサンルート・ホテル1階のイタリアン、「ラ・ココリコ」。いつも学会の委員会のあとに寄っていたところです。リーズナブルな価格の良心的なお店で、若いグループには最適。この値段でよくこれだけのワインが出てくるなあと、感心しました。

私が酒好きだから余計そう思うのでしょうが、食事会、飲み会の効用は絶大。とくに、手作りのコンサートをする場合に壮行会をやっておくと、士気向上に役立ちます。それを予算化するわけにはいかないので、最近は交際費と割り切っています。帰りの時間を気にしながらの打ち上げより、有意義だと感じます。

蛇足ですが、ご一緒した方々の評判がいちばんいいのは、やはり渋谷の「ラ・ゴローザ」です。諸般の事情から今月は行かれなかったのですが、群を抜いているのがお店の静けさ=話のしやすさ。にぎやかなお店がお好きな方もおられるでしょうが、大きな声で話さないとなかなか、という環境と、何人いても1つの話ができる環境の差は大きいです。

絶品の「たたき」2013年02月13日 11時00分03秒

宮崎にはメディキットという、県立の総合文化施設があります。音楽、演劇、イベントの3ホールが複合しているのです。

駅前のホテルからそこまで歩き、途中軽く食事しよう、という計画を立てて出発しました。ところが繁華街とは反対の方向に歩くことになり、お店がありません。45分ぐらい歩いて劇場に着いてしまったため、食事は公演後の楽しみとしました。

3時間の公演(演劇)が終わり、再び徒歩で市心へ。盛り場に少し入ってみましたが、むしろホテルまで戻り、駅の近くで食べることにしました。ところがお店が少ない上にもう閉まっており、選べるのはラテン系の居酒屋か、日本料理のどちらか。そこでワインをあきらめ、「炎の舞」という、日本料理店に入りました。

内部は大賑わいで、カウンターの端に座るのがやっと。しかしこれが、すばらしいお店だったのです。焼酎「霧島」のお湯割りとともにいただいたオリジナル料理、「藁焼き カツオのたたき」と「宮崎鶏の炭火炙りたたき」が絶品。お客様の注文が飛び交っているのに、ひとりで隅にいる私にも気を配り、すぐに注文に応じてくれます。その心遣いが、お店の格というものでしょう。駅の一角にありますので、便利にお食事できます。

セラー購入2013年01月17日 23時46分56秒

長~い逡巡の時を経て、当家にワインセラーがやってきました。電話でワインの注文をとってくださる女性に、どのぐらい薦められたかわかりません。それでも同じ理由でお断りし、長~い時間が経ちました。

踏み切れなかった理由。私がワインを好きになったのはこの数年です。急激なシフトなので、あと何年飲めるか、わかりません。保存装置を買っても、すぐにドクターストップ、ということが十分に考えられる。だったらそのお金をワイン自体に投資し、買ったそばから飲んでしまうのが吉だ、と思うわけです。熟成を心がけても、自分が飲めなくなったら、意味がないではありませんか。

それでも買ったのは、今の1本を、少しでもおいしく飲みたい気持ちから。どうせ短期間しか飲めないのであれば、早くセラーを活用するに、越したことはありません。何より、部屋に放り出していたのでは、白ワインが飲めない。そこでビックカメラに行き、下の上ぐらいのセラーを購入して、部屋に置きました。

コメントに、ヤケ買いは成果があったか、という質問がありましたね。サンテミリオンの6本セットは、上々でしたよ。気がついたときに買っても、これからは保存しておきます。飲めなくなったら、青汁でも冷やすとしましょう。

ラーメン店にて2013年01月15日 23時03分01秒

12日、金曜日。14時から、「古楽の楽しみ」後半の録音です。支度して家を出ると、外出中の妻がちょうと帰宅。「ハンカチ持った?」とチェックが入りました。忘れていたので取りに戻り、危険を1つ回避。国立駅で『週刊文春』を買い、JRに乗りました。買わなければ良かった。

埼京線の渋谷ホームで降り、前日偵察していた「小法師」へ。隅のカウンターに座りましたが、オール相席でどんどんふさがる人気店です。お目当ての「青唐うま塩ラーメン」が、次々に注文されている。喜多方特有の麺と青唐辛子の辛味がマッチして、なかなかの味でした。

もう時間が迫っていましたので急いで食べ、立ち上がりポケットに手をやって驚愕。財布が入っていないのです。胸ポケットは真っ平らの状態で、私は相当青ざめたと思います。

じつはときどきこれをやるのですが、鞄にたいていは謝礼の袋などを放り込んでおり、そこから支払って切り抜ける。しかしこの日の場合、学会の打ち上げで鞄の紙幣を使い切ったことを自覚していたのです。鞄を預けて下ろしに行こうか、とも思いましたが、カード類もすべて財布の中です。

小銭はいつも、ポケットに入れている。そこで血眼で小銭を数えました。計、540円。ラーメンは760円です。クソッ、『週刊文春』がたたった。初めて来たお店で身分を証明するものもないのでは、どんな恥をかくかわかりません。平身低頭、押し問答、いろいろ考えられますが、そんなことをしていたら、録音が始まってしまう。進退窮まってしまいました。

一縷の望みを託して、傍目も気にせず、鞄の中をしらみつぶし。そうしたら、ある封筒に、須坂で本を売っていただいた2000円が入っていたのです。天の助け!支払いを堂々と済ませた私は、走るように、NHKへ向かったのでした。

いや~危なかった、と言ってスタジオ入りした私に、アシスタントの方々が「また何か?」という表情で、嬉しそうな顔を向けます。私は「ブログに書くから」と、説明を拒否。音楽に心を集中させていると、このように、日常のことが行き届きません。

カレーライスもまた良し2013年01月14日 21時36分40秒

広尾でワインを「ヤケ買い」した先週火曜日まで、話が戻ります。

「ヤケ買い」には、「ヤケ食い」がよく似合います(14時で、まだ昼食前)。しかしどうせ食べるならいいお店を見つけたい、時間はゆっくりあるのだから、と思いました。モットーの「転んでもただでは起きない」を実践するためでもあります。

そこで、広尾から明治通り沿いに、渋谷まで歩いてみることにしました。食べ物屋を吟味しながらです。かなりの道のりを歩いて渋谷に近づいた頃、ありましたね、ピンとくるお店が。「チリチリ」というカレー屋さん。自然派インド流のヘルシーなカレーという触れ込みです。私は「じゃがいもマサラカレー」というのを注文しました。

さっぱりして香ばしい、私好みのカレーです。昔大阪で食べた(今はない)「パンジャブ・カレー」というのに近いかな。最近、カレーは絶対にナンで、と思うようになっていたのですが、ライスに合うカレーもいいなあ、と見直しました。

気がつくと、渋谷車庫というバス停のある周辺にはいくつもの本場のカレー屋があり、その他にも、魅力的なお店が軒を連ねています。飲食店の集中するところはいくつもありますが、自分好みのお店が集まっていると思えるところは少ない。そこで、来られるときに通おう!と思い立ちました。それから渋谷へと歩きましたが、その間にも、寄りたいお店がいくつもありました。渋谷駅から南の方角(環状線内側)、いいですよ。

1日おいて、木曜日(11日)。NHKの録音を終えて、ふたたび「チリチリ」を訪れました。半端な時間なのにどんどんお客の入ってくる、人気店です。道中観察して、渋谷駅南口から来るとかなりあるが、埼京線の渋谷駅からなら近いことを認識。新宿から一駅です。

喜多方ラーメンが好きな私ですが、「小法師」というお店が出している「青唐うま塩ラーメン」というメニューに、目が吸い付けられました。翌日のNHKは14時からなので、録音の前に来てみようと決定。前置きが長くなりましたが、ここで起こった出来事については、次話をどうぞ。

〔付記〕カレーライスというのは、上にかけた形で出てくるものを言うような気もしてきました。「チリチリ」はかけて食べる方式ですから、タイトルは不正確かもしれません。