潤いに満ちたオルガンの響き2014年02月17日 08時08分45秒

先週の週末に、仕事のピークが来ていました。14日(金)は朝10時に大阪で現地集合、15日(土)は朝10時に立川で講座開始というスケジュールです。

朝6時に出発しても、間に合うかどうか。それを2日続けるのはイヤだな、と思っていたところへ、大雪になりそうだ、という予報が入ってきました。とりあえず13日(木)のうちに大阪に入っておくことが望まれたわけですが、それには、それぞれの準備や急ぎの仕事を、その前に片付けておかなくてはならない。その見通しが、立ちませんでした。

しかし追い込まれるとできるもので、ヘトヘトになりながらも完了させ、「古楽の楽しみ」を2本収録してから、大阪へ。翌朝は、たしかに雪が降りしきっていました。

午前中の仕事は無事終え、いずみホールへ。当夜出演の女性オルガニスト、ビーネ・ブリュンドルフさん(デンマーク)はすでにリハーサルを切り上げておられ、私は控え室で休憩。しかし疲労著しく、今夜という今夜は失敗するのではないか、と思えてきました。バッハ/オルガン作品全曲演奏会シリーズはステージでのインタビューもあり、集中力を必要とするからです。ホールのスタッフに弱気の虫を打ち明けることなど、今までになかったことでした。

でもそれが、悪いツキの消費だったのですね。この日のプログラムは、「喜びに満ちて、晴れやかに」というタイトルで、主調はト長調。短調の曲はコラール・パルティータ1曲だけで、ハ長調のトリオ・ソナタ(第5番)の後を《ピエス・ドルグ》で締める、という明るいもの。その、ある意味では偏ったプログラムを、ブリュンドルフさんは自然な流れをもつ、心温まる演奏で聴かせてくれたのです。

いずみホールのオルガンがこれほど潤いに満ちて響いたのは初めて。好感度の高いお人柄と共に、私はすっかりファンになりました。何となく曲間は拍手なしが定着しているのですが、この日はパルティータのあと自然に拍手が起こり、お客様の好印象を裏付けていました。

終了後、最終の新幹線(名古屋行き)で、名古屋まで移動。少しでも、翌日の早発ちを確実にするためです。

楽しい大阪、熱い大阪2013年12月15日 23時28分48秒

13日(金)は早朝に起き、いずみホールへ。定例の企画会議です。終了後、豊中市の大阪音大に移動して、恒例の学期末特別講義を行いました。いただいている「客員教授」の肩書きは、こうして着々と生かされています。ありがたいことです。

バッハのカンタータを実例としてさまざまな研究の方法を論じた後、庄内駅近くの、いつものお店へ。先生方や大学院の学生さんだちと繰り出すこの時間が、楽しいんですよね。そのためにも、講義には万全を期しています。この日はかつてない盛り上がりとなり、某先生の鋭いツッコミに私が立ち往生するシーンもしばしば。詳細を書けないのが残念です。

14日(土)。《イドメネオ》の始まる16:00までの間に、自由時間がありました。本当ならリハーサルに立ち会うのが仕事というものですが、久々に出現した空白なので勝手をさせてもらうこととし、ユニバーサルシティに行ってみました。巨大なスペースに驚きましたが、土曜日なので人手が多く、やかましいので周囲をめぐるだけに。

お腹が空いてふと浮かんだアイデアは、明石に行って魚を食べよう!というものでした。電車で37分。おいしいお寿司を食べ、お城に登ってから、ホールに戻りました。準備で大わらわのスタッフには悪くてとても言えませんので、皆様、内密にお願いします。

私が遊んでいる間にも準備は着々と行われ、いずみホールの総力を挙げた歌劇《イドメネオ》公演が実現しました。今年のモーツァルト企画にこれを入れて、本当に良かった。20代前半のモーツァルトの5年間がすべて注ぎ込まれた、さわるとやけどをするような力作です。客席でじっくり聴き、気づいたことがいろいろありました。次の仕事に生かしたいと思います。

福井敬、林美智子、幸田浩子、並河寿美の4大スターが勢揃いし、心境著しい中井亮一さんが脇を固めるというぜいたくは、いずみホールとしてもそうそうできることではありません。熱気に満ちた客席から楽屋に行ってみると、スターの方々と大勝秀也マエストロが熱い余韻にひたっておられます。その一番熱い段階で握手できるのが、ありがたいところ。字幕の森田学さんを含め、たくさんの方にがんばっていただきました。ありがとうございます。

15日(日)は明石のツケで、必死の仕事。今週が山場になります。

《第九》のあと2013年11月19日 07時23分54秒

サントリーホールにおけるウィーン・フィルのベートーヴェン・チクルス。私は、最後の《第九》(+《第八》)だけ顔を出しました。

入場券といっしょにいただいたのが、フェアウェル・パーティのご案内。さて、と考え込みました。翌日の準備など、その夜、やらなくてはならないことがたくさんあったからです。帰り際まで迷っていましたが、立場上ここは出るべきだと決心し、会場のブルーローズへ。

このパーティ、通し券を買うと招待されることになっていたそうですね。全シンフォニーとコンチェルトを聴かれた方が、100人以上いるとか。さすがです。総力を挙げた大演奏のあとですので、出演者、関係者で満員の会場にも熱気がありました。いちばんトーンの高かったのが通訳の方です(笑)。

ウィーンの伝統は確固として健在だ、と痛感したのは、アトラクションで披露された弦楽四重奏(チェロではなくコントラバス)。ひときわ若いコントラバス奏者がじつに音楽的で、上声部に寄り添うように、響きを取りにいく。完璧にアンサンブル優先、ウィーンの香りを花開かせるための駒になっているのです。なるほど、こうした献身の総和として、ウィーン・フィルがあるわけですね。

公演で最大の拍手を集めたのは、2回のステージのためだけに来日した楽友協会合唱団(ヴィーナー・ジングフェライン)でした。アマチュアを標榜する彼らですが、存在感と芸術性は並々でなく、響きが、ウィーン・フィルと完全に融合している。彼らも、名伯楽プリンツさんの指揮で、楽しいアトラクションを聴かせてくれました。

合唱団の東京公演は三十数年ぶりというのを聴いて、心ひそかに満足。というのは、いずみホールで今世紀、すでに2回彼らを招聘していたからです。大阪大好き、また絶対行きたい、と、団員の方々。いろいろな方とお話しするうち、大阪のウィーン音楽祭がなくなって一番残念がっているのは、ウィーンの人たちなのではないかとさえ思えてきました。いい形でウィーン・サウンドを聴いていただける工夫ができないかどうか、将来に向けて検討を始めたところです。

弱音の美2013年09月13日 10時03分15秒

5日(木)はいずみホールで、今年度のモーツァルト企画を導入するレクチャー・コンサートを開催しました。今年度はザルツブルク時代の終わり、モーツァルト20~25歳の作品に「克服」と題して光を当てますので、そこに至るまでのモーツァルトの歩みを、「天才の学習」と題してたどるのが目的です。

と書くといかにも私が企画したようですが、選曲、構成、演奏はすべて久元祐子さんによるものです。久元さんの負担を軽減するために、私が説明と司会を買って出たにすぎないのですが、久元さんのおかげ、またお客様のおかげで、たいへん楽しく進めることができました。

舞台上に左から、チェンバロ、フォルテピアノ、グランドピアノ(ベーゼンドルファー)が勢揃い。いずれも、いずみホールの所有する楽器です。モーツァルトの鍵盤音楽活動はチェンバロで始まり、まさにザルツブルク時代後期に、フォルテピアノとの出会いによって大きく展開しました。その響きを実感しながら、現代ピアノとの比較も行おうという、入場無料とは思えないぜいたく企画です(笑)。さすがに、スタインウェイとの比較は諦めましたが・・・。

後半に登場したフォルテピアノは、ベートーヴェン世代の名製作者、ナネッテ・シュトライヒャーによるオリジナル(!)。山本宣夫さんが修復に修復を重ねて実用に供しているものです。今回その音色がいままでになく心に響いたのは、久元さんが楽器への愛を込めて演奏されていたからに違いありません。

何より、モデラート・ペダル(弦とハンマーの間に布を挟んで減音する)の効果が美しく、耳を澄まして聴き惚れてしまいました。弱音がはっきりした音色の変化を伴って、耳を引き寄せるのです。いずみホールの楽器には、このペダルが2つ(!)。フォルテピアノはチェンバロにできない音の強弱を表現に導入するために発達したわけですが、その真価は弱音をこのように傾聴させるためにあったのだなあ、と思いました。

いずみホール年間企画20132013年07月06日 23時56分12秒

5日(金)、大阪で、いずみホールの今年の年間企画に関する記者発表をさせていただきました。

今年は、モーツァルトです!昨年で「ウィーン音楽祭in Osaka」を一区切りにしましたので、とりあえずウィーン頼みを克服することが課題だったのですが、久々のモーツァルト企画をそれに当てました。すなわち、ウィーン以前のモーツァルト、ザルツブルクにおける最後の5年間に焦点を当て、もろもろの体験を克服した上に実現された、たくましい大人の音楽家としてのモーツァルトの名作を、「未来へ飛翔する精神」として聴いていこう、という企画です。コンサートは10月末日から始まります。

詳細はいずみホールのホームページ(http://www.izumihall.co.jp/)におまかせし、近くなったらご案内したいと思いますが、企画は「溢れ出る管弦楽の力」(協奏交響曲、ポストホルン・セレナード)、「パリの青春」(フルートとハープのための協奏曲、《パリ交響曲》他)、「二重奏&ソロの光と影」(ヴァイオリン・ソナタ、ピアノ・ソナタをフォルテピアノで)、「オペラで勝負する」(《イドメネオ》の演奏会形式上演)、「室内楽はのびやかに」(フルート四重奏曲、オーボエ四重奏曲、ディヴェルティメントニ長調)の5つのコンサートと、そこに到達するまでのモーツァルトの成長を鍵盤楽器3種とお話でたどるレクチャー・コンサートによって構成されています。レクチャー・コンサートが露払い役となり、9月5日(木)開催。ご出演は久元祐子さんで、私が聞き役を演じます。

構想についてはもちろん私からお話ししたのですが、演奏者がお二人、助っ人で同席してくれました。《イドメネオ》で主演される福井敬さんと、ハープ・ソロで第2回に出演される福井麻衣さん(パリ在住)です。

職業柄、こんなときに内容のある意欲的なお話をしていただくと、その方に対する尊敬と、コンサートに対する意欲が湧いてくるもの。この日の福井敬さんが、まさにそうでした。洞察力のある密度高いお話を伺ううち、自慢のキャストを揃えた12月14日の《イドメネオ》が、ますます楽しみになってきました。林美智子さん、幸田浩子さん、並河寿美さん、中井亮一さんらが出演されます。

大阪人情2013年05月16日 12時10分30秒

「人情」という言葉は、やっぱり、東京より大阪にふさわしいですね。この言葉が頭に浮かんだのは、昨夜(15日)のいずみホール。解散する東京クヮルテットの、お別れ公演のさなかでした。

この日は最初から一種特別な感慨が共有され、客席に、熱さと集中力がありました。演奏者にもこのことははっきりと伝わっていて、演奏を通じて、客席にフィードバックされた。拍手はいつにも増して長く熱く、室内楽のコンサートには珍しい、スタンディング・オーベーションが起こりました。

いずみホールの聴衆が温かいとアーティストによく言っていただくのですが、私の見るところ、人間的な情愛を込めて演奏を聴かれる方が多いようです。だから、東京クヮルテットありがとう、最後、気持ちをいれて聴きますよ、という雰囲気になる。いずれにせよ、室内楽大好きというお客様がこうして集まり、ホールの空間で貴重なひとときを過ごされているさまに立ち会い、幸福に感じました。

演奏のクォリティについては言うまでもありませんが、この夜のコンサートの爽快さは、そのまま弦楽四重奏の本質に通じるものだったと思います。すなわち4人の音楽家が対等の立場で参画し、譲り合い立て合って連携を取りながら、ともどもハーモニーを作り上げていく。その姿勢が、爽快なのです。室内楽の時代がまた来ているのかもしれない、と思います。

オルガンを知る美麗なプレゼン2013年05月11日 09時27分16秒

いずみホールに公式ホームページができたのはいつだったでしょうか。早く作るべきだと力説した記憶がかすかにありますが、現在はコンテンツが充実し、オンラインでチケットも購入できる、スグレモノになっています。

その公式ホームページに、「ヨーロッパにおけるオルガンのルーツ」という、すばらしいコンテンツがアップされました。オルガンの歴史が言語、宗教、風土などの文化とからめて論じられ、いずみホールのオルガンにも、成立経緯を含めて言及されています。美麗な絵や写真が満載されている目にも楽しい読み物ですので、興味のある方はぜひご覧ください。

この読み物、じつは、3月21日に小糸恵さん、佐治晴夫さんを交えたシンポジウムで、アルザスのオルガン・ビルダー、イヴ・ケーニヒさんが行った講演の日本語版です。ケーニヒさんが精魂込めて準備された講演だったのですが、専門的な内容のゆえに当日適切に通訳されず、後日WEBに掲載しますと、お詫びかたがた、お客様にお約束したのでした。元同僚でアルザスに留学経験のある友利修さんが、しっかりした翻訳を作ってくれました。こちらからどうぞ。http://www.izumihall.co.jp/pdf/20130321organmn.pdf

当日はケーニヒさんにもお客様にも申し訳ないと動転してしまった私ですが、こうして公開にこぎ着けてみると、ずっと多くの方に読んでいただけ、ホールの楽器紹介にもなりますので、ほっとしています。

ケーニヒさんには、氏が修復にかかわったフランス/ヴェズリーズのキュッティンガー・オルガンをジョアン・ヴェクソが演奏しているCD(AOV 002)をいただいていました。マルシャン、クレランボー、グリニー、クープラン、ギラン、セジャンにバッハを加えた選曲です。すばらしいCDで、響きの柔らかさ、高貴さにうっとりしてしまいました。様式に精通した名手の手にかかると、フランス・バロックのオルガン音楽は本当に美しいですね。いつか、こうした作品でコンサートをやりたいものです。

小糸旋風が過ぎて2013年03月23日 23時40分30秒

3月20日(水)、バッハ・オルガン作品全曲演奏会第2回、小糸恵さんのコンサート。21日(木)、小糸さんをメイン・ゲストに迎えての、講演とシンポジウム。いずみホールにとっても私にとっても、何か重いものの残る、大きな出来事でした。

コンサートを聴き、マイクも向けることで、小糸さんのまことに独特な演奏様式に、ある程度のイメージをつかむことができました。チェンバロという楽器は、名手の手にかかると格段に情報量を増し、ニュアンス豊かな響きを作り出しますよね。その時大きな役割を演ずるのが、アゴーギクという微妙な速度法。言い換えると、多様性のある時間の扱いです。

小糸さんは、それをオルガンで行おうとしておられるようです。すなわち、古楽奏法のエッセンスを追究したオルガン。根本にあるのは、卓抜な時間感覚です。プログラムに並んだ曲目が、大局を見据えた時間感覚によって、積み上げられていく。コンサートの最後に演奏された《パッサカリア》では、蓄えられたエネルギーが大河のような流れを作り出し、「鳥肌が立つ」(オルガン製作者ケーニヒ氏)ような盛り上がりとなりました。穏やかな女性のどこに、こうした力がひそんでいるのでしょうか。

もう一つ重要な特徴は、卓越したレジストレーション。音色の扱いです。いずみホールのケーニヒ・オルガン(日本で唯一!)は多彩な音色の美しさを特徴とするのですが、小糸さんはそれをとことん引き出し、パルティータ(変奏曲)などでは、音色の多様性をすべて試そうとするかのように、変化に富んだ扱いをされます。しかし趣味でそうするのではなく、(たとえば北ドイツの演奏伝統に基づいてペダルで2フィートを響かせるというように)研究にもとづいて、そうされるのです。

何度も考えざるを得ないのは、これだけの力量をもった音楽家を、私も、スタッフも、ケーニヒ氏も、誰も知らなかったということです。音楽の世界ほど知名度がものをいう世界はありません。人を集め、お金を動かしていくのは、知名度のある音楽家です。しかし一方では、そんなことは煩わしいとばかりに自分の探究に打ち込み、他の誰にもマネのできない世界に到達している音楽家がいる。このことを、どう考えたらいいのでしょうか。

彼女の存在を知っていて、演奏者のリストに抜擢した、ヴォルフ先生という方がいます。そして、人選への信頼に基づいて満員の大盛況を作り出してくださった、お客様がいます。キツネにつままれたような現象ですが、事実。奇跡、と言ったら大げさでしょうか。

名伯楽、佐治晴夫先生の参加で深い内容を掘り下げることのできた、シンポジウム。そこで小糸さんが尊敬する2人の人物が披露されました。その2人とは、デカルトとニュートンだそうです。言葉もありません。

温かさに包まれる2013年03月10日 22時09分47秒

3月8日、いずみホールにおける「日本のうた」。午後2時からというシニア向けのコンサートでしたが、ご高齢の方にもたくさん足を運んでいただき、心の芯から温まるようなコンサートになりました。夜になっても、温かな幸福感がずっと残ったのはなぜでしょう。それは何より、お客様からいただいたものだというのが、出演者たちの一致した見解です。終了後、ステージで撮った写真。左から花岡千春さん(ピアノ)、中井亮一さん(テノール)、菅英三子さん(ソプラノ)、私、三原剛さん(バリトン)です。


明治も大正も昭和も、民謡に由来する歌はみな良かったけれど、痛感したのは、山田耕筰のすばらしさです。あまり歌われない民謡編曲もじつに非凡だし、耕筰オリジナルの《松島音頭》は、ずっと心に住みついて、離れません。歌い手3人の合作する名調子はアンコールの最後にも繰り返されて、大いに盛り上がりました。ステージ上で司会する私にとって、「日本のうた」は鬼門です。どうしても、涙が出てしまうからです。司会に涙は禁物、と心に命じてやっているのですが、なつかしの名歌が共感をこめて歌われたりすると、ダメですね。

演奏は皆さん、とても清潔だったなあ。キャリアを積むと演奏家にはどうしても慣れが出て、それによって成功する場合もそうでない場合もあると思うのですが、今回は皆さんキャリアをもちながらも、ベストを尽くして勉強してくださる姿勢があり、歴史を遡る企画として、ありがたかったと思います。応援をいただきましたので、この企画、続けて参ります。

今回のオルガン・シリーズ2013年03月03日 07時25分33秒

もう1件だけ、ご案内させてください。いずみホールにおけるバッハのオルガン作品全曲演奏会、第2回が3月20日(水、休日)の16:00から開かれます。

今回はプレリュードとフーガBWV549に始まり《パッサカリア》を目指して進むという、ハ短調を基本にしたプログラム。ハ長調のコンチェルトBWV595や変ホ長調のトリオ・ソナタ第1番があり、それらの間に《装いせよ、わが魂》BWV654などのコラール、コラール・パルティータがはさまれてゆきます。題して、「鼓舞される心」。

出演者は小糸恵さん。ヴォルフ先生のリストに登場した、初の日本人です。長くローザンヌ(スイス)にお住まいで、キャリアからもCDからも実力は疑いなしですが、お客様にどのぐらい来ていただけるか、実のところ不安に思っていました。しかしすでに残券はわずかであるとのこと。どうぞお急ぎください。

3月のコンサートの翌日、よく公開レッスンを開いています。今年はそれに代えて、シンポジウムを開くことにしました(21日=バッハの誕生日、19時)。

これだけご評価をいただいているいずみホールのオルガンについて詳しいご紹介をする機会をもてずにいましたが、今回、製作者のイヴ・ケーニヒ氏(アルザス)をお招きし、一般向けの講演をしていただきます。そのあと、小糸さん、科学者でオルガン演奏もなさる佐治晴夫さんと私の3人で、質疑応答。小糸さんの演奏も4曲あります。入場無料。20日のコンサートに来られる方はフリーパスですが、それ以外の方は申し込みが必要で、すでにキャンセル待ちになっていると聞きました。

ハーゲン四重奏団のコンサートも熱気のうちに終わり、ホールに盛り上がりの感じられる早春です。