逆人格改造(1) ― 2009年04月02日 21時38分25秒
知人に指摘されて思い出したことがあります。私がいつぞや入院し、手術後穏健な療養生活を送っていた頃、さる卒業生が、「大変だ、先生がいい人になっちゃう」と言っていた、というのです。ムッとしましたね、私は。自分がいい人ではない、というのはもちろん完全に認識していますが、それでもというかそれだけにというか、よそ様からは「いい人」と言われたい、と願っているのです。
そういう私を不安に陥れる存在は、どこから見ても「いい人」としか思えない人がじっさいにいる、ということです。「いい人」であることだけが取り柄、というのなら別にいいのですが、堂々たる社会人で風采も立派、という人が「いい人」でもあるということになると、性悪説を唱えて渡ってきたこの人生は何だったのか、となってしまいます。そして、まさにそのような人が、「楽しいクラシックの会」の親睦係として、季節の旅行に、采配を振るっておられるのです。
この方は、持ち前のサービス精神から、バスの中でクイズを出されます。すると、その設問は素直である上にわかりやすいヒントを含んでいて、自然に正解できるようになっている。これは、私の信念に反します(きっぱり)。私は、クイズの問題は精緻なひっかけを含むべきで、人を誤答へと導くものでなくてはならない、と思っているからです。
業を煮やした私は、会の先生である権威を笠に着て、その方に「人格改造」を命じました。しかしいっこうにあらたまらぬまま、その方のお世話により、茨城~栃木への、今年のバス旅行が始まったのでした。(続く)
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