ギターに開眼 ― 2009年11月22日 22時47分14秒
皆様は、「わたなべ音楽堂〈ベルネザール〉」をご存じでしょうか。東武伊勢崎線の五反野駅、梅島駅、つくばエクスプレス青井駅から同じぐらい離れた住宅街にある、お堂のような形の小さなホールです。そこで今日、國松竜次さんのギター・リサイタルを聴いてきました。
國松さんは、私が先月のCD3選でタレガの作品集を取り上げた方です。とてもよかったので、一度生を聴いてみたい気持ちにかられていました。そこで、ホームページを調べて今日のコンサートを知り、電話をかけて予約、地図を見い見いやってくる(結局迷いましたが)という、めったにしたことのない行動をとったわけです。
ギターの場合、客席数は25人(!)。正面のかぶりつきで、演奏者との距離は至近の1.5メートル。しかし最初の音が出てすぐに、こうした空間でギターを聴くことがどれほど理想的かわかりました。音量的にはごく小さいはずのギターの音がじつに豊かに響き、細部まで、手に取るように聞き取れるのです。ギターの音の魅力は何より、人間の指が直接弦をはじくことから来ています。その柔らかさ、やさしさ、一種の肉感性は、ハンマーやジャックを使った楽器には出せないものだと思います。
このように魅了されたのは、國松さんの演奏が音を大事にし、慈しむようなスタンスで一貫していたから。写真から「かっこいい」タイプを想像していたのですが、実物は美的な感受性の豊かな、きわめて繊細な青年でした。音楽も汚れないピュアな印象のもので、最後の《アランブラの思い出》に至るまで、私は感動をもって耳を傾けました。
進行を司られていた支配人が最後のご挨拶でなんと私をご紹介くださり、乞われてスピーチをするという、意外な展開。お客様の中に、さる大学で私の本をテキストとして《マタイ受難曲》の授業をしているという方がおられたのにはびっくりしました。このホールあっての今日のコンサートです。皆様も一度訪問してみてください。ホームページもありますよ。
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