東奔西走2009年11月03日 23時37分37秒

昨日は、《マタイ受難曲》に関するレクチャーで小倉へ。新幹線で4時間、そう遠いとは思いませんでした。主催が合唱団ですので、合唱団向きのプレゼンテーションを新たに作成。反応がすこぶる活発だったのは、「マタイを50回ぐらい歌った人が複数」という、団体のキャリアもあるようです。「生きる」という言葉は60曲目のアルト・アリアにのみあらわれる、と述べたところ、同じことをずっと昔、濱田徳昭先生が言っておられたとのこと。発想が近かったんだなあと、あらためて認識しました。

帰路、オーチャードホールに寄り、大野和士指揮のリヨン国立歌劇場管による、マスネの《ウェルテル》を鑑賞。管弦楽がこぞって魂のこもった響を奏でる圧倒的な公演で、私は大感激です。マスネのすばらしさを、私は本当に、はじめて経験しました。新聞批評が当たっていますので、明日、腕によりをかけて書きたいと思います。

しかし、疲れました。へとへとです。東奔西走というほどではないが、いま、四字熟語に凝っていますので・・・。

クイズ新趣向2009年11月04日 22時39分22秒

先週になりますが、新著に直接間接にかかわった方々が、ささやかな出版記念会を開いてくださいました。いつものオフ会より、やや平均年齢が上だったでしょうか。

会となるとクイズを作りたくなるのが、私の性癖。今回新しい趣向を考えましたので宣伝します。3問ありますが、3択ではありません。

第1問は、主賓である私にふさわしい名詞を皆さんに考えていただく、というもの。持ち寄られたところで公表し、どれが傑作かを投票して、上位の人が得点を得る、という趣向です。

皆さん私に華を持たせてくださるに違いありませんので、「いやあ、過分のお言葉で、照れますね。でも今日はいただいておきます。ありがとうございます」というコメントを用意していました。

ところが。同票で1位になったのは、「アンチ巨人」と「七転八倒」だったのです。何ですかこれは。「七転び八起き」ならまだしも、「七転八倒」はないですよね、皆さん。その下には「ダブルブッキング」があり、「油断」とか「罪滅ぼし」というのもある。はいはい、自分が皆さんの目にどう映っているか、よくわかりました。

私は参加者の分だけ、四文字熟語を考えました。「剛毅木訥」とか「前途洋々」とか、いいのをたくさん揃えました。どれが誰に当てはまるかを考えていただくのが、次の問題です。

第2問は、これは自分だ、と思うものに手を挙げていただく、という趣向。当たると高得点です。たとえば「才色兼備」というのがあるとすると、自分だといいな、と思う女性がいらっしゃると思うのですね。しかし手を挙げるのはきっと、勇気がいる。誰が厚かましく手を挙げるかを見て楽しめるように、この問題はなっているのです。そのあと、どれが自分以外の誰に当てはまるかを5人分推測してもらうというのが、第3問でした。

どうです、皆さんもパーティで使ってみませんか。四文字熟語には女性用のいい言葉が少なく難儀をしましたが、寿司ネタとか鳥の名前とか、いろいろな応用ができると思います。

珍しくも2009年11月05日 22時15分00秒

一昨日妙に疲れたと思ったら、昨日から、のどの痛みを感じ始めました。今朝起きると、完全な風邪の症状。風邪をひかない私としては、10年に1度の椿事です。

事が容易でないのは、流行中の新型インフルエンザが私の大学にも入ってきていて、防御におおわらわの状態であること。校内放送では、インフルエンザと判明したら無断で大学に入るのはまかりならぬ、というメッセージが流れています。私がインフルエンザだったら大変です。

そこで病院で検査し、現状ではとりあえず陰性となりましたので、大学に行きました。しかし調子は悪く、授業と指導だけで会議を失礼し、帰ってきました。どうなるか目下様子を見ています。休めばいいのでしょうが、授業のスケジュールも決まっていますからそうもいかず、辛いところです。大流行のようですので、皆様もお気をつけください。

一進一退2009年11月08日 22時56分03秒

おおぐまさん、お見舞いありがとうございます。皆様にはご報告しそびれてしまいましたが、いずみホールのウィーン音楽祭では、おおぐまさん、花崎薫さん、小倉喜久子さんらにより、ベートーヴェンとシューベルトのじつにすばらしい室内楽を演奏していただきました。いずみホールのシュトライヒャー・フォルテピアノを生かした企画、ぜひ続けたいと思います。

おおぐまさんは若いから回復が早いのだと思いますが、私はどうも、一進一退です(←四字熟語好き)。平熱と微熱の間を往復していて、汗がじわじわと出るここ数日です。今週は、少しずつはしょりながら進めるよりなさそうです。

どうも、休養しているとさぼっているような気がしてしまって、すっきりしません。「大事をとらせて」いただくのですが、本当は行かなくてはいけないのに、という気持ちが先に立ってしまいます。そういう方、大勢おられるのではないでしょうか。

正攻法の勉強2009年11月09日 23時05分22秒

徐行運転を宣言して始まった今週。弟子2人の発表するゼミは休めないので出かけ、結局、3つの会議と1件の打ち合わせを済ませて帰ってきました。博士課程の声楽専攻2人が発表の担当でしたが、2人ともかなりのレベルを示してくれたので、嬉しい気持ちになっています。

先の談話「博士論文」の内容に照らして特筆に値するのは、高橋織子さんのシュトラウス《4つの最後の歌》に関する発表でした。高橋さんはソプラノ歌手としてすでにかなりのキャリアをお持ちの方で、コンサートをご一緒したことも、複数回あります。その彼女がこの4月から博士課程で勉強し直す道を選び、私が論文の担当になっていたのでした。

しかし研究の基礎がとくにあったわけではありませんから、博士論文に向けてどう勉強していくか、なかなか方向の定まらない日が続きました。焦ってもいたようです。しかし、シュトラウスのオーケストラ歌曲を従来のリート美学とは異なった形で分析することを主張し、それにはニーチェの哲学がよき基礎を提供する、とする優秀な文献に出会い、それを読み進めることで発表を構成する、という道が開けてきました。

とはいえ、視野の外にあった哲学を、ドイツ語で勉強しようというのだからたいへんです。しかし彼女は驚くべき粘り強さを発揮し、聞くところでは、寝食を忘れて打ち込んだようです。その結果、思いの外短い期間に正攻法の研究の基礎が作られ、なかなか堂々たる発表ができあがりました。その過程で勉強のやり方がわかり、その面白さが感じられてくるというのは、まさに「博士論文」で提唱したやり方そのものです。これから挑戦する方の励みになり、モデルともなることだと思いますので、ご紹介させていただきました。

カツ丼の専門店2009年11月10日 23時31分05秒

私の通うお店がつぶれていくのはもう自然の摂理として淡々と受け止めています。それにしても、「陳麻飯」チェーンの閉店にはびっくりしました。あちこちに支店ができて、結構好きだっただけに、一夜にしてどこにもなくなる、というのはショックでした。急激な拡大のツケかもしれないですね。

先日ふらりと入り、面白いお店だな、と思ったのは、吉祥寺の新潟カツ丼「タレカツ」(検索可能)。卵を使わない揚げカツには好みが分かれるかもしれませんが、ご飯が真っ白に粒立ち、やけにおいしいのでふと気がつくと、「新潟から新米が入りました」と張り紙が。こだわっているんですね。個性的かつレベルの高いお店で、「カツ丼専門店」という概念をくつがえします。

早口ですって?2009年11月11日 23時07分43秒

私のミステリー好きはご承知のとおり。一に松本清張、二に夏樹静子、というのも既報のとおりで、あとが続きません。夏樹作品がなぜか手に入りにくい昨今ですが、先日の大阪滞在中に大きな本屋さんに入った折、光文社文庫をまとめ買いしてきました。

夏樹作品がいいのは、美しい文章、きめ細かな仕上げに加えて、ウルトラC級のどんでん返しが、つねに用意されていることです。流行作家って、なかなかこれだけのレベルは保てないのではないかと思います。

買った本の中に、『往ったり来たり』というエッセイ集がありました。ご自身の内輪のことを、初めて綴られたものであるとか。これがまた、率直な心情が含羞を含んで綴られていて、すばらしいのです。ああ、こういう人の文章だからいつも読みたくなるんだなあ、と実感していたら、意外な一文が・・・。自分は文壇一の早口だと書かれているではありませんか。てっきり、春風駘蕩の高雅な口調を想像していました。

エッセイの形での価値観の披瀝に接して思うことは、やはり生命への豊かな慈しみが底流にあるのだということ。結婚と出産を奨励しておられることに共感します。やはり、次の世代を育ててゆく社会のシステムのおかげでわれわれ自身が存在し、そのおかげで日々生活できているわけですから、社会への恩返しが人生の基本だと、私も思います。

在位20周年2009年11月12日 23時10分01秒

風邪はどうやら乗り切りました。ご心配をおかけしました。いろいろ遅れが出たので、取り戻すのがたいへんです。まず明日を乗り切らなくてはなりません。

天皇陛下在位20周年だそうですね。陛下も皇后様も皇室の務めに献身されて、本当にご立派。頭が下がります。ドイツにいた頃、お世話になった老夫婦に、日本はカイザーがいるからいい、ドイツにはいないので残念だ、と言われたことを思い出します。ドイツには儀礼的な事柄を務める大統領がいますが、陰が薄い。やはり政治家が選ばれるというのでは、国民統合の象徴とはなり得ないようです。(いま調べてわかったのですが、現大統領はホルスト・ケーラーという人だそうです。皆さんご存じでしたか。)

「カイザー」は「皇帝」ですが、王と皇帝の違いは複雑で、なかなかむずかしいですね。そのうち勉強してみたいと思います。両陛下にはこれからもご健在であられるよう、心からお祈りいたします。

人生の味わいではあるのですが・・・2009年11月15日 15時06分26秒

人生の味わいは選択にあり、というのが私の考えです。お昼ご飯に入りたい店が何軒かあっても、行けるのは1件だけ。魅力的なコンサートが複数あっても、聴けるのは1つだけ。優秀な若い人が複数いても、賞をもらえるのはひとりだけ。等々、辛い選択はいろいろあれども、そこで絞っていかざるを得ないというところに、味わいがあるわけです。

などと言ってられないほど困っているのが、いま。昨日から今月のCDの選考に入っているのですが、今月は、どうしちゃったのか、というぐらい、有力な候補が目白押しなのです。とくにバッハと、その周辺。

昨日の一次選考を通ったのが、この分野だけでもシフの《パルティータ》再録音/ポリーニの《平均律第一巻》/渡邊順生さんの《ゴルトベルク変奏曲》/リフキンの《ザ・バロック・ビートルズ・ブック》/桐山さん、大塚さんのヘンデル《ヴァイオリン・ソナタ集》とあります。いつもの月であれば、全部取り上げてもおかしくないレベルのものです。

他の分野にも強いのがいくつもありますし、DVDからも1点入れるとすれば、上記のものから1つしかとれないわけですよね。困りましたし、もったいないと思います。ともあれこれから心して、本審査に臨みます。

お手上げ2009年11月16日 23時07分11秒

「Windows7導入記」というのを書こうかと思っていたのですが、それどころではありません。メイン・マシンがネットにつながらず、いろいろなことを試しているのですがお手上げです。それにしても、急にこれだけ不便になってしまうというのは、いかにネットに依存しているか、ということですよね。バックアップはもちろん、スケジュールもTo doもネット上に置いていますから、つながらないのでは何もなりません。やれやれ、いつ解決できるものやら。

具体的には、PPPOEで接続しようとしたときに、エラー651というのが返ります。考えてみると、PPPOE接続しなくてもVistaではつながっていたように思うのですが・・・。