苦戦の結末 ― 2009年11月29日 23時18分25秒
今月のCD/DVD選、ご報告しておかなくてはいけませんね。
バッハ、バロックだけでも目白押しでたいへんだ、と申しました。しかし他の領域にも、枠があれば取りたいものがたくさんあったのです。クレーメルのモーツァルト《ヴァイオリン協奏曲全集》とか、ブレンデルの「フェアウェル・コンサート」とか、佐藤卓史さんのショパン・アルバムとか、佐藤恵津子さんの武満Songsとか。
結局これらをすべて見送り、まずシフの《パルティータ》全曲に、1席を取りました。古楽奏法を踏まえた正統的解釈にますます磨きがかかり、第2番のクーラントなど、なんとイネガル(フランス様式の不均等リズム)で演奏している。プロジェクトで渡邊順生さんが学生に要求され、ピアノじゃなかなかうまくいかないなあ、などと言っていたところだったので、驚きました。確信をもって絢爛と演奏された6曲です。
リフキンの「ザ・バロック・ビートルズ・ブック」も、落とせないという結論になりました。ビートルズのナンバーを組曲やカンタータに仕立てているわけですが、若き日のリフキンの手腕は並の模作とは桁違いで、ヘンデルだ、バッハだと言われても信じてしまいそう。私など、「どこにビートルズがあるの?」という感じです。わが親友、やっぱりすごいです。
DVDもひとつ入れたいので、今回は新宿のタワーレコードに買いに行きました。新譜はどこだ、と聞いたら、まあこの辺だ、というあいまいな返事なので、そのあたりから3点選んで購入。帰って比較したところ、ショスタコーヴィチの《ムツェンスク郡のマクベス夫人》がぶっちぎりですばらしいのですね。クシェイ演出による2006年のライヴで、コンセルトヘボウがオケで入っているのですが、マリス・ヤンソンスの統率が圧巻なのです。すさんだ環境下の惨劇を息もつかせぬ迫力で描きながら、音楽の美しさと品位を保っている。だから、なんとすばらしい曲なんだろう、と聴き入ってしまいます。というわけで、これを1位にしました。
そのことを友人に話したら、それは新譜ではないぞ、とのこと。うっかりしました。しかし、取り上げる機会ができたことはよかったと思います。割を食った新譜には、申し訳ないのですが・・・。
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