今月のCD2011年11月21日 22時49分52秒

今月は、メジャーなレーベルにいいものが揃っていましたので、ご案内します。

なにより、ジンマン指揮、チューリヒ・トーンハレ管による、シューベルト 《未完成》その他(RCA、2,520円)。作品をまったく新しい角度から聴かせる、クリエイティブな演奏です。

帯に、「史上最速?」と書いてある。たしかに速く、3拍子が1拍子に聞こえます。しかし流れは非常によく、せわしなさは感じません。むしろ、1つ上のレベルから見渡した風景が広がり、作品全体に、新しい展望が拓かれています。「憂いを帯びた旋律に高揚感があり、激しい訴えに、手に汗を握って聴き入る。こんなシューベルトはこれまでになかった」(新聞から)。

リストのピアノ協奏曲2曲を、バレンボイムがブーレーズの指揮するドレスデン・シュターツカペレとライヴ録音しました(グラモフォン)。顔ぶれだけのことはある演奏です。表面の技術に走らず、リストの詩的なロマンティシズムが奥深く捉えられているのは当然としても、ピアノとオーケストラの交流のレベルが高く、バレンボイムの手綱を、ブーレーズがしっかりと握っている。さすが、たいしたものです。

モーツァルトの交響曲第39番と第40番をアバドがモーツァルト管弦楽団を指揮したもの(アルヒーフ)を3位としました。個人的には1位でもいいと思うほど、「滋味豊かな愛のあるモーツァルト」です。幸福感をもって聴きました。