この数日2013年02月08日 10時44分43秒

ちょっと間が空いてしまいました。この数日間を振り返っておきます。

2日(土)。バッハの世俗カンタータのクォリティを新宿の講座で確認したあと、走るように大阪へ移動。いずみシンフォニエッタの定期を聴きました。まもなく還暦を迎えられる音楽監督、西村朗さんをお祝いしての、オール西村プログラムです。宇宙的な思索を追求しつつも誰にもわかりやすく訴えてくる西村さんの作品はひとつの驚異だと思っていますが、西村作品を知悉したシンフォニエッタの高いクォリティにカール・ライスターの名人芸まで加わって、すばらしいコンサートになりました。雄弁なスコアを書いてきた西村さんの最新作(室内交響曲第4番)が、響きの間合いを重んじたものになってきたのは注目に値します。題して、《沈黙の声》。

1週間に3回も新幹線の往復をしたものですから、3日の日曜日は疲れてしまい、まったくやる気が出ませんでした。やっぱり過労はダメですね。4日(月)に仕事を再開。6日(水)の《マタイ》講座の準備をまず済ませ、資料を朝日カルチャーに送ったところ、担当者から、「こんなに早くいただいては、雪が降っちゃうじゃありませんか」との返信。関東に、大雪の危機が迫っていたのです。

5日(火)にマッサージ(新橋)と床屋(日本橋)を済ませて帰宅すると、朝日カルチャーから、大雪で休講になる場合は早朝に決定し、連絡する、という知らせが入りました。反射的に、しめた!という心の叫び。雪を楽しみにするのでは人様に迷惑ですが、子供の頃からよく陥った心理です。でも世の中、そう甘くはないですね。講座には皆さんしっかりおいでになり、盛り上がりました。

7日(木)は、「都市ミュンヘンとミュンヘン・フィル~その魅力を探る」という講演を、朝日新聞社で。場所が場所なので緊張しましたが、準備は十分にしましたので、責任は果たせたと思います。

ミュンヘン・フィルは1928年に市の楽団となってこの名称を得ましたが、それまでは「カイム管弦楽団」という個人所有のオーケストラで、1893年から活動していました。歴代の指揮者には、ワインガルトナーや作曲家プフィッツナーの名前があります。調べてみると、マーラーの第4、第8交響曲をマーラー自身の指揮で、《大地の歌》をワルターの指揮で初演したことになっています。

はて、カイム管弦楽団という名前を文献で見た記憶がないが、と思って手元の複数の資料を見たところ、どちらにも、「マーラー自身の指揮でミュンヘンで初演」「ワルターの指揮でミュンヘンで初演」という表現になっており、カイムという名前がありません。よく調べたわけではないですが、伝承の不備かもしれませんね。

終了後早々に抜け出し、オペラシティへ。サロネン指揮、フィルハーモニアのコンサートで、新聞批評の当番です。ルトスワフスキの第4交響曲はたいへんすばらしかったですが、ベートーヴェンには私として異論があり、どう書くべきか悩んでいるところ。批評の心理的負担から、なかなか抜け出すことができません。