オチが淡泊と思ったら・・2013年02月16日 08時11分39秒

平素、読み物はほとんど文庫本を買っている私ですが、宮崎旅行にあたっては読む時間が多くなると考え、分厚い単行本を買いました。久しぶりに宮部みゆきで、『ソロモンの偽証』です。タイトルに惹かれた面が多分にありますが、自分が女性作家ばかり読んでいることに、自分で驚きます。

ディテールが愛嬌豊かにふくらんでいくのが宮部さんの特徴。それは出来事のめぐりを遅くする場合があり、今回も最初、その感なしとしませんでした。しかしひととおり布石を打ち終わって、それらが、すなわち一連の登場人物かみ合って回転し始めると、怒濤のような迫力。舞台が学校で感情移入しやすいということもあり、文字通り、読みふけってしまいました。

741ページもある大著。謎が次々に解き明かされるのを期待して最後を読みましたが、案外淡泊です。あのことはどうなったんだ、この人のことは書いていないな、などと、思いが残ってしまう。でも全部説明しないでそれを読者の心の中に残しておくのもスマートなのかな、と思ってふと気がつくと、「第一部 事件」となっているではありませんか!空恐ろしいほどの大きな構想があるようです。次が待ち遠しい。