今月の「古楽の楽しみ」2013年04月09日 23時14分24秒

「古楽の楽しみ」、今月は22日(月)からの出演になります。チェンバロ協奏曲、平均律で行ったバッハのリレー演奏がとても好評だったものですから、ご要望の多かった無伴奏ヴァイオリン曲特集を、ついに実現しました。

とはいえ、同じように聴き比べ、というわけにはいきません。なぜなら、無伴奏ヴァイオリンは曲が長く、2曲丸ごと出せば、時間がいっぱいになってしまうからです。かといって、曲の途中で演奏者を変えるわけにはいきませんよね。

そこで、6曲を全部違う奏者とし、時間の余るときに、若干の比較を行うことにしました。6曲はソナタ3曲、パルティータ3曲ですが、ソナタをモダン・ヴァイオリン、パルティータをバロック・ヴァイオリンに振り分けました。舞曲の連なるパルティータの方が、古楽の様式にふさわしいと思われたからです。たくさんの録音がありますが、基本的に、新しい演奏を中心に選びました。

22日(月)。ソナタとパルティータの各第1番。じつはこのプログラムで一度放送したことがありますが、演奏者を変えて、繰り返しました。奏者はソナタがイザベル・ファウスト、パルティータがアマンディーヌ・ベイエールです。空いた時間で、ソナタ第1番のフーガを、ヨーゼフ・シゲティと聴き比べました。ファウストとは、絵に描いたような両極端になりました。

23日(火)。ソナタとパルティータの、各第2番です。ソナタに選んだのは、メニューイン19歳の、1936年のSP録音。じつはこの演奏しか時間枠に収まるものがなかったからなのですが、演奏はなかなかよく、20年後のシゲティと比べても、ずっと新しく感じられます。

この企画を立てるときから、〈シャコンヌ〉を含む第2パルティータはシギスヴァルト・クイケンの1999/2000の演奏で、と決めていました。画期的な名演奏と認識していたからです。放送室で聴き直すと、〈シャコンヌ〉は鳥肌の立つすごさで感動してしまい、コメントが、思わず涙声に。言い間違いはもちろん、言いよどみも許されない放送ですので、録り直すつもりで準備していました。

放送が終わるとアシスタントがやってきて、「声が揺れていたのは感極まったからですか」と尋ねます。「そうです」と答えたら、「じゃ、このままいきます」ですって。みっともない放送、ご容赦ください。

24日(水)は第3番-第3番で、ソナタは、ヒラリー・ハーン。17歳の、恐るべき演奏です。パルティータは、レイチェル・ポッジャー。少し時間が余ったので、冒頭のプレリュードを、ギドン・クレーメルと比較しました。それじゃクレーメルの圧勝だよ、と思われるでしょう?そうでもないですよ。比べてみてください。

25日(木)は、編曲特集。リュート編曲を2曲、オルガン編曲を1曲のあと、野平一郎さんの4つのヴィオラへの編曲(今井信子さん他演奏)を聴いて、スウィングル・シンガーズ初期の〈ガヴォット〉で締めました。作品のすばらしさを痛感した1週間。次は、無伴奏チェロですね。