正誤不明の大安堵2013年08月26日 19時08分40秒

話題の確率を見ると、合唱コンクールがとても多いですよね。それは、多忙な日常の中でも、心身ともにクタクタになるという壮絶体験であるという点で、コンクールに匹敵するものがほとんどないからです。というわけで、土・日の埼玉県における経験を、審査委員長としてではなく、この上なく私的な雑感として、ひとこと。

私にとってコンクール審査は、絶大なストレスを伴う作業です。万全のおもてなしを主催者からいただいているのに、あるいはそれだからこそ、いい加減なことはできないと、必死でやっています。同様に真剣でも、合唱を楽しみながらやっている、という方もおられ、うらやましいというか、感心するというか。それでも、谷間の夜の睡眠は、皆さん不足するようですね。芯のところで興奮が残っており、頭の中に、残響がこだましているわけです。

24日(土)。この日は高校で、シード校3校を除く35校の激戦を聴き、課題曲と自由曲の双方の採点を、合計が重複することなく提出する、という難題と向き合いました。11時に出た学校と4時に出た学校はどちらがいいか、という選択を、文字通り迫られるわけです。

集計は私が一番手間取り、6時近く、まさに首を洗う心境で提出。集計結果を待つ気持ちは、自分が審査されているのと同じです。表彰式の迫る中、ようやく出た集計に眼を通した私は、湧き上がる安堵の思いで、全身が軽くなった。なぜだか、おわかりになるでしょうか。

採点が多様であったにもかかわらず、総合の1位から3位までが、私の1位から3位までと同じであったのです。もちろん、だから正しいという保証はまったくないし、合唱の専門家でない自分は多様な採点を担保するために呼ばれているはずだと考えれば、それではいけないのかもしれない。しかし一人だけまったく違うというのは、たとえ確信犯の場合でも、いい気持ちがしないものです。私がほとんど幸福な気持ちにさえなってしまったことも、採点に苦労された経験をもつ方なら、わかっていただけるのではないでしょうか。

25日(日)は3部門ありましたが、なんとその2つの部門で、私と総合の「1位~3位」が同じ。残る1部門でも、1位が同じでした。12分の10という的中率です。これがいいか悪いかはわからない、かえっていけないのかもしれない、と重々思いつつも、そうそうあることではないのでつい喜んでしまった私でした。次は、9月1日です。

コメント

_ ダヴィデヒデ ― 2013年08月28日 01時19分41秒

痛いほど本当に良く判ります! 本日の某コンクールの審査では一意が全員一致! 2位から12位までは全くのバラバラの審査結果が出まして本当に様々に考えさせられました! でも個人的には他人と全く違う順位の先生の評価が好きです(悪魔)

_ I招聘教授 ― 2013年08月28日 08時26分18秒

興味深いですね。質問2つ。その1位は意外なる一致でしたか、歴然たる一致でしたか。もうひとつ。ダビデヒデさんは、「楽しんで」やっているという実感でしょうか。

_ マッキー ― 2013年08月29日 17時32分34秒

総合の1位から3位が同じだった(幸福な気持ちになられた)審査員は、全審査員中、何人中何人だったのでしょうか。
この比率と1位だけ同じの比率を何年間かプロットすると、何かが見えてくる?
ダヴィデヒデさんのご回答の前に失礼しました。

久し振りにコメントした、まったくお気楽なマッキー

_ I招聘教授 ― 2013年08月31日 00時43分22秒

あ、もちろん私ひとりです。「採点が多様であったにもかかわらず」というのは、その意味です。審査員は、5人でした。

_ 中尾 ― 2013年09月05日 01時05分33秒

磯山先生

初めまして。合唱団あべ犬東の中尾と申します。
先日の埼玉県コンクール一般の部で演奏させて頂いた折、先生に頂いたコメントについてどうしてもお教え頂きたい事があり、ご連絡させて頂きました。

ご連絡先が分からずこのような場での書き込み、大変恐縮です。
不適切であれば削除下さい。

私たちは自由曲にMonteverdiの2曲「Sfogava con le stelle」「Si ch'io vorrei morire」を演奏させて頂きました。その際、先生の審査コメントの中に「お使いの版は古く、強弱に根拠が無いものです。新しい版をお使い下さい。」とありました。この新しい版が何になるのか、よろしければお教え頂けないでしょうか。
ウト・オルフェウス社のものでしょうか?(演奏はユニヴァーサル・エディション版を使用しました)

我々も演奏していて、ユニヴァーサル版のデュナーミクには違和感を覚えていたので、新しい版があればぜひそちらでさらに曲の理解を深めて行きたいと思っております。

最後に、長期に渡る審査、大変お疲れ様でした。

_ 中尾 ― 2013年09月05日 01時06分47秒

先生のお名前の漢字を間違えてしまいました。。。
大変失礼致しました。

_ 中尾さん ― 2013年09月05日 16時14分41秒

あべ犬東、すばらしい演奏でした。あのように言葉の内容をひとりひとりの内側から表現する意欲に、目を開かれました。版に関するコメントは、これからのことを考えて言及したもので、減点したわけではありません。いま大阪滞在中ですので、帰京してから正確にお知らせします。お待ちください。

_ I招聘教授 ― 2013年09月05日 17時05分42秒

ごめんなさい! 名前のところに「中尾さん」と書いてしまいました。上のコメント、もちろん私からです。

_ 中尾です ― 2013年09月05日 20時05分25秒

礒山先生
ありがとうございます!
我々はまずは一人一人の歌う意欲を大切にしようと考えており、その旨が伝わったのであればこれにまさる喜びはありません。

版の件、お待ちしております。
お手数をおかけして恐縮ですが、何卒よろしくお願い致します。

_ I招聘教授 ― 2013年09月07日 00時57分26秒

モンテヴェルディのマドリガーレは、全曲の原典版が、UT ORPHEUS EDIZIONIという出版社から発売されています。校訂報告もしっかりついている、いい楽譜です。「あべ犬東」さんが歌われたのは、第4巻の曲ですよね。私がもっている楽譜は第5巻以降ですが、第4巻も発売されていますので、ぜひ参照してください。ネットで注文できます。「あべ犬東」さんはいつもクリエイティブな演奏をされますので、これからも期待しております。

_ 中尾です ― 2013年09月07日 09時47分07秒

ありがとうございます!

さっそく注文してみました。
最近はすっかりMonteverdiの魅力にとりつかれ、一同なんとかこの世界をより理解し、それを体現出来ないかと試行錯誤しております。
7月末に先生が企画されたサントリーホールでのMonteverdiの演奏会は、大変参考になりました。

次回お聴き頂ける際は、よりご期待に添えるような演奏が出来ればと思っております。どうもありがとうございました!

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