和楽器と古楽器のコラボ ― 2013年10月27日 01時36分27秒
今日は津田ホールで、和楽器と古楽器で編成された「アンサンブル室町」のコンサートを聴きましたが、たいへん感心しました。輪郭だけお伝えします。
「東方綺譚」というタイトルがついていたのは、マルグリット・ユルスナールのオリエントを舞台とする小説集をテーマとした、フランスと日本、2曲ずつの委嘱新作でプログラムが組まれていたから。ユルスナールについては、私が関係している藝術関連学会連合(藝関連)のシンポジウムで、研究発表を聴いていたというご縁がありました。
岩切正一郎さんによるプレトークが、しっかりした内容と感じのよいプレゼンテーションで、勉強しつつコンサートへの期待を高めるという、よき導入になりました。私、自分がプレトークを担当することがあり、いつも苦心しているものですから、プレトークがいいと本当に嬉しくなります。でも、軽んじていい加減にやられることも時折経験するのが、プレトークです。やる以上は、密度濃い時間にしてほしいですね。指揮者が自らマイクを握り、作品に対する無知を露呈したりしたら、それでコンサートは終わりなのですから。
企画がこのようにしっかりしているので、新作にもとてもよいものが含まれ、ハエ=スン・カンさんのヴァイオリン・ソロ以下、演奏も卓抜でした。行って良かった。注目したいと思います。
「東方綺譚」というタイトルがついていたのは、マルグリット・ユルスナールのオリエントを舞台とする小説集をテーマとした、フランスと日本、2曲ずつの委嘱新作でプログラムが組まれていたから。ユルスナールについては、私が関係している藝術関連学会連合(藝関連)のシンポジウムで、研究発表を聴いていたというご縁がありました。
岩切正一郎さんによるプレトークが、しっかりした内容と感じのよいプレゼンテーションで、勉強しつつコンサートへの期待を高めるという、よき導入になりました。私、自分がプレトークを担当することがあり、いつも苦心しているものですから、プレトークがいいと本当に嬉しくなります。でも、軽んじていい加減にやられることも時折経験するのが、プレトークです。やる以上は、密度濃い時間にしてほしいですね。指揮者が自らマイクを握り、作品に対する無知を露呈したりしたら、それでコンサートは終わりなのですから。
企画がこのようにしっかりしているので、新作にもとてもよいものが含まれ、ハエ=スン・カンさんのヴァイオリン・ソロ以下、演奏も卓抜でした。行って良かった。注目したいと思います。
今月のCD ― 2013年10月29日 23時45分49秒
今月は、ドビュッシーの交響詩《海》と、最近楽譜が発見されたという管弦楽組曲第1番のカップリングを選んでみました。フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮、レ・シエクルの演奏です(ACTES SUD 3,000円)。
これ、ドビュッシーの《海》を1905年初演時の響きで蘇らせたものだそうです。なんともチャレンジング。当時の楽器を使用し、パリ音楽院の伝える奏法を遵守した響きは一見渋いですが、「個性あるパーツが繊細な綾をなして作り上げる有機的な音像からは、えもいわれぬ色彩が発見されて」(新聞)面白いです。管弦楽組曲もいいですね。温かく美しい音楽です。
選び仲間の西原稔さんは、アシュケナージを中心としたラフマニノフの《悲しみの三重奏曲》を挙げておられました。たしかに演奏はとてもいいので、憂愁の調べであれば時間を忘れて聴いていたい、という方にはお薦めです。メリハリを求める方には、ちょっと違うかも。
トリフォノフ、ラシュコフスキー、ブレハッチという人たちの新譜を聴き、いま若い男性ピアニストが台頭しつつあるという印象をもちました。とくにブレハッチの弾くショパン《ポロネーズ集》(グラモフォン)は、知情意のバランスの取れた、好ましい演奏だと思います。
これ、ドビュッシーの《海》を1905年初演時の響きで蘇らせたものだそうです。なんともチャレンジング。当時の楽器を使用し、パリ音楽院の伝える奏法を遵守した響きは一見渋いですが、「個性あるパーツが繊細な綾をなして作り上げる有機的な音像からは、えもいわれぬ色彩が発見されて」(新聞)面白いです。管弦楽組曲もいいですね。温かく美しい音楽です。
選び仲間の西原稔さんは、アシュケナージを中心としたラフマニノフの《悲しみの三重奏曲》を挙げておられました。たしかに演奏はとてもいいので、憂愁の調べであれば時間を忘れて聴いていたい、という方にはお薦めです。メリハリを求める方には、ちょっと違うかも。
トリフォノフ、ラシュコフスキー、ブレハッチという人たちの新譜を聴き、いま若い男性ピアニストが台頭しつつあるという印象をもちました。とくにブレハッチの弾くショパン《ポロネーズ集》(グラモフォン)は、知情意のバランスの取れた、好ましい演奏だと思います。
11月のイベント ― 2013年10月31日 08時48分36秒
標記、ご案内します。今月はあまり多くありません。
2日(土)、3日(日)と、慶応大学三田キャンパスで日本音楽学会の全国大会があります。プログラムは学会のホームページをご覧ください。若い人たちがどんどん出てきているなあ、という印象です。公開ですので、当日参加が可能です。会長を退き、今年は気が楽です。
その二日目を、まつもとバッハの会とダブルブッキングしてしまいました。学会の方々、申し訳ありません。松本は松本深志高校教育会館で14:00~16:30、《ロ短調ミサ曲》シリーズの〈ニカイア信条〉篇です。
ちらりとプライベートなことをはさみますと、4日(月)に、娘の結婚式があります。
6日(水)、20日(水)は朝日カルチャーセンター新宿校の日。10:00~12:00が《ニーベルングの指環》の講座で、《ラインの黄金》の継続。論題は6日が「文明の悪の目覚め――鋳造された指環とその音楽」、20日が「ふくらむ物欲、権力欲――神話に投影されたパリ」です。13:00~15:00の《ヨハネ受難曲》講座は少し早く進行中なので、6日に最初の聖書場面(「私である」)、20日に2つのコラールを取り上げることになると思います。
16日(土)は立川楽しいクラシックの会の、ワーグナー・プロジェクト。《神々の黄昏》に入り、とりあえずその序幕です。今回は私の都合で30分繰り上がり、9:30~11:30となります。立川市錦町学習館です。今月は《ジークフリート》を取り上げ、ぐっと盛り上がってきたところです。
23日(土)、29日(金)、30日(土)と、朝日カルチャーセンター横浜校に出講します。23日が「エヴァンゲリスト」講座で、テーマはバッハのカノンです。「カノンと数象徴」と題しましたが、幅広い角度から考察します。
13:00~15:00。29日は特別企画で、「音楽の都/芸術の都ウィーン」と題してお話します。10:30~12:00。30日は、2日の代講。「超入門講座」です。今月はベートーヴェンの《エリーゼのために》を鑑賞し、ロンド形式について学んでゆきます。
以上、よろしくお願いします。
2日(土)、3日(日)と、慶応大学三田キャンパスで日本音楽学会の全国大会があります。プログラムは学会のホームページをご覧ください。若い人たちがどんどん出てきているなあ、という印象です。公開ですので、当日参加が可能です。会長を退き、今年は気が楽です。
その二日目を、まつもとバッハの会とダブルブッキングしてしまいました。学会の方々、申し訳ありません。松本は松本深志高校教育会館で14:00~16:30、《ロ短調ミサ曲》シリーズの〈ニカイア信条〉篇です。
ちらりとプライベートなことをはさみますと、4日(月)に、娘の結婚式があります。
6日(水)、20日(水)は朝日カルチャーセンター新宿校の日。10:00~12:00が《ニーベルングの指環》の講座で、《ラインの黄金》の継続。論題は6日が「文明の悪の目覚め――鋳造された指環とその音楽」、20日が「ふくらむ物欲、権力欲――神話に投影されたパリ」です。13:00~15:00の《ヨハネ受難曲》講座は少し早く進行中なので、6日に最初の聖書場面(「私である」)、20日に2つのコラールを取り上げることになると思います。
16日(土)は立川楽しいクラシックの会の、ワーグナー・プロジェクト。《神々の黄昏》に入り、とりあえずその序幕です。今回は私の都合で30分繰り上がり、9:30~11:30となります。立川市錦町学習館です。今月は《ジークフリート》を取り上げ、ぐっと盛り上がってきたところです。
23日(土)、29日(金)、30日(土)と、朝日カルチャーセンター横浜校に出講します。23日が「エヴァンゲリスト」講座で、テーマはバッハのカノンです。「カノンと数象徴」と題しましたが、幅広い角度から考察します。
13:00~15:00。29日は特別企画で、「音楽の都/芸術の都ウィーン」と題してお話します。10:30~12:00。30日は、2日の代講。「超入門講座」です。今月はベートーヴェンの《エリーゼのために》を鑑賞し、ロンド形式について学んでゆきます。
以上、よろしくお願いします。
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