ヨーロッパ真摯の旅2015(15)--掘り出し物2015年06月27日 22時41分14秒

「ニーチェの家」の観光も済ませ、バスはナウムブルクからヴァイセンフェルスへ。ここまで来て、寄らない手はありません。バッハが《狩のカンタータ》を初演したとされる「狩の館」(イェーガーハウス)がレストランになっていて、そこで昼食。最近は、苦いピルツよりふくよかな白ビールが好みです。おいしい。

ヴァイセンフェルスは妻アンナ・マクダレーナの出身地で、バッハも「宮廷楽長」の肩書きをいただいていたほど懇意なところです。その新アウグストゥス城は牛歩のごとく改装中でしたが、別団体に便乗して、運良く城館礼拝堂を見学することができました。天井近くにしつらえられたこのオルガンで、ヘンデルは才能を見出されたのだそうです。バッハも演奏した記録があるとのことでした。


ヴァイセンフェルスはシュッツが子供の頃住んでいたところで、家も残っています。今回は寄れませんでしたが、《白鳥の歌》の楽譜が城館の壁に描かれていて、目を引きました。


皆さんが聖トーマス教会聖歌隊のカンタータ・コンサートに行かれた夜。私はなにしろ夢の疲れがあり、ホテルで休養しました。最後の18日(木)になり、ようやく、市街へ買い物に。

CDだの文献だのを仕入れましたが、本当の目標は、古本屋に出ている神学書でした。バッハ時代の聖書解釈書でも出ていたらいいなあ、と思い、数件を回りました。どの古本屋さんにも、小さいですが、神学書のコーナーがあります。

最初の本屋さんに、表紙に書名もないまま埋もれている1冊がありました。開いてみてびっくり。それはバッハの宗教蔵書に含まれている、17世紀初めの神学者ヨハン・アルント著『真のキリスト教』の増補版だったのです。バッハの宗教蔵書を読みにヴォルフェンビュッテルの図書館に行くのが私の研究ですから、1冊手持ちできるのは願ってもないこと。多少の出費は厭うまい、と心に決めました。


すると、値段は24オイロで、3000円ぐらい。一桁違うように思えましたが、無事手に入れることができました。この旅行すなわち「真摯の旅」、最高の収穫です。