雪降り積む2011年02月12日 11時24分46秒

松本は、かなりの雪でした。この冬初めてだそうで、皆驚いています。しかし私は自分が住んでいた頃の雪を覚えているので、違和感はありません。むしろ、嬉しく思います。

松本の誇るザ・ハーモニー・ホールは、松本駅から大糸線に乗って2つ目の、島内という駅のそばです。これがなんと、無人駅。ではよほど田舎かというと、近くに「ショコラン」という南仏家庭料理の洒落たお店があり、公演前にもここで食事をしました。

2時から、シュタイアーの《ゴルトベルク変奏曲》の前座に、講演1時間。松本バッハの会の方々をはじめ、たくさんの方に来ていただきました。シュタイアーの《ゴルトベルク変奏曲》を聴くのは、今週3度目です。水曜日のトッパンホールにおける演奏の批評を毎日新聞に書きましたので、ここではちょっと控えておきましょう。掲載は、再来週の月曜日です。

夜は、昔の仲間たちとワインをはしご。松本は、いいお店がたくさんありますね。結構都会的に洗練されているのです。

今、どこでこれを書いているか。浅間温泉の東石川旅館です。日曜日が須坂なので、温泉泊りで英気を養うことにしました。そのために、出発前は必死で仕事の消化し、今も、1本送ったところです。

小学校5年のとき高崎から松本へ転校し、いまサイトウキネンの演奏会場のある水汲というところから、本郷小学校に通っていました。女鳥羽川を渡り、左にカーブしながら緩い坂を登ると、右側に東石川旅館(左側は西石川旅館)がある。毎日その前を通って、学校に行ったのです。はっきり覚えているその旅館に泊まることができてなつかしく、とても満足しています。

静岡を満喫2011年02月06日 20時55分17秒

講演は1時からですが、静岡駅には11時5分に着きました。会場でテストを終えるまでに、30分。時間があるので、ゆっくり静岡の街を散策します。天候のせいもあるのでしょうが、静岡は穏やかな雰囲気の町で、人々の表情も、なごやか。おいしそうなお店も多く、「駿河丼」で昼食をとりました。ご存知ですか、シラスとマグロを乗せた海鮮丼です。

いつも息急き切って駆け込む私が、なぜそんなに余裕があるのか。準備ができているからなのです。今回はたいへん過密なスケジュールの中だったのですが、どうやらそういう方が危機感から緊張するらしく、しっかりと準備しました。よく、「仕事は忙しい人に頼め」といいますね。その意味のひとつは、忙しい人は仕事を断らないから忙しいのだ、という洞察であると思いますが、テンションの問題もあるかもしれません。忙しいときほどしっかり準備する、という形で一般化できるかどうか、自分を観察してみます。

思いがけないほど大勢のお客様の前で《ゴルトベルク変奏曲》について語ること、ちょうど1時間半。そのあと、シュタイアーの公演を聴きました。終了後、散策時に見つけて予約してあった、洒落たマッサージ店へ。それから「ナシゴレン」を食べて、静岡を満喫し帰京しました。今日も、レッツ・ノートが伴侶として大活躍。新聞も週刊誌もいらなくなりましたよ、ほんとに。

不吉な予感2011年02月05日 00時45分30秒

分刻みの毎日から、2月3日の記録です。

3時から、いずみホールの打ち合わせ。慎重に逆算し、出発時間を決めました。それまでの時間を使って、ドイツ語の書類を2つ製作。修正を加えるうち出発が遅れ気味になりましたので、せっかく座れた中央線でしたが、国分寺で特快に乗り換えました。おかげで、余裕をもって東京駅に到着。これなら、十分間に合います。

それにしても、改装成った東京駅のエキナカはすごいですね。レストランもお弁当売り場も一新され、当分、楽しめそうです。セレブな雰囲気が、横溢。新幹線の車中では、仕事に集中しました。レッツノート、本当にいいですよ。WiMAXの効果もあり、仕事がどんどんはかどる。画面の見やすさ、キーボードの打ちやすさ、メールが常時使えることなど、今までとは雲泥の環境です。とにかく仕事が遅れていますので、「ジュピター」(いずみホール情報誌)の巻頭言をがんばって仕上げ、《魔笛》の解説を、あらまし書きました。

ほっとして新大阪に降り立つと、ホールのスタッフからメールがありました。曰く、「3時からお待ちしているのですが、どうかなさいましたか」と。驚いた私は、思わず、「えっ私、1時間間違えましたか」と返信してしまいました。

3時開始に、誤解はなかったのです。しかし、私の計算通りに動いたのでは4時にしか着かない、ということを理解していなかった。時計と見ると、その時点で、すでに3時半でした。

ここまで、計算通りだと思って旅してきたのは、何だったのでしょうか。ご承知のとおりいろいろ間違いを犯す私ですが、この手の間違いは、生まれて初めてです。不吉な予感がします。

沿線の発展2011年01月23日 07時54分01秒

早朝の久喜通い、これが3日目です。気持ちよくやらせていただいているのに加え、今回はまずまず納得のいく採点ができていると感じるものですから、前向きの気持ちで通っています。

それにしても驚くのは、東北線沿線の発展。私は浪人時代、蓮田に家があったのですが、当時はバスの最終が8時15分。一時間ぐらいの道を歩いて帰ったものでした。東北線の駅は、大宮、蓮田、白岡、久喜、栗橋の順になっていました。

しかし今は、土呂、東大宮の次が蓮田で、白岡の次に新白岡、久喜の次には東鷲宮の駅があります。しかも宇都宮線という新線が並行していて、本数も実に多い。たいへんな発展ぶりです。罪深い浪人時代にバッハの音楽に出会ったとよくお話ししていますが、それは蓮田に住んでいる時のことでした。今昔の感があります。

死の夢2011年01月21日 08時01分11秒

死の夢。フルートが吹けなくなり、議論に自分だけ参加できなくなる、崩壊過程。疲れきり、見知らぬ宿にもぐり込んで倒れている情景。

ほぼ1時間ごとに目が覚めましたが、夢は断続し、びっしょり汗をかいていました。なぜこんな夢を見るんだろう、お迎えが近いのだろうか、それとも合唱コンクールに遅れてはいけないと緊張していたのだろうかと考えて、思い出しました。昨日、ある方から、配偶者を亡くされたお話を伺い、わが身になぞらえて聞いていたのです。

寝不足のまま起き出してしまい、念のため、会場を確認。埼玉県ですから南浦和に違いありませんが、もしものことがあります。

連盟のホームページは、二年間も更新されていません。あちこち探してみると、どうやら久喜のようです。えー、遠いじゃん。というわけですぐ飛び出し、今向かっています。ゆっくり起きたら大変なことになるところでした。

明確な教育理念2011年01月19日 10時52分52秒

前期、後期と通った聖心女子大学の授業が、今日で終わりました。後期はバッハをテーマとして進め、今日はバッハの晩年と死、受容について話しました。鑑賞は、《ゴルトベルク変奏曲》、《ロ短調ミサ曲》、ジャズ化されたバッハです。

これほど気持よくできた授業も、そうありません。とにかく、学生たちが勉強熱心。授業態度もよく、リアクションペーパーを使っての感想や質問も、毎回、どんどん寄せてくれました。終了後、サインを求めてくる学生さんの顔を見ると、いい表情なのですね。高いものを求めるひたむきさが窺えるのです。ああ、大事なことが通じる人たちなんだなあと思って、嬉しくなります。

つまり私は、聖心女子大学という大学のすばらしさに、感嘆しているのです。校風に統一性があり、大学の教育理念が、すみずみまで浸透している。どんな学生を育てたいかがはっきりしていて、そのための指導がしっかり行われている、という感じなのです。もちろん、学生によって合う合わないが生じる可能性は、考えられます。でも私は、私学はこれでいいと思う。建学の理念を重んじつつこのように伝統を作っていけば、「聖心を出た学生さんなら」という信用が、社会に作られてゆく。ものわかりよくやっているだけでは、それは不可能です。

解放感と一抹の(ほんのわずかな)寂しさを感じながら美しいキャンパスを横切り、本務校に向かいました。聖心の皆さん、ありがとうございました。

新聞の読み方2011年01月17日 22時42分53秒

皆さんは、新聞はどちらから読まれますか。一面をまず読み、ページを右側にめくって政治面に入るか。あるいは、テレビ欄をまず眺め、ページを左側にめぐって、社会面に入るか。どちらでしょう。

私はじつに長いこと、後者でした。必ずマンガを読み、将棋欄を経て、スポーツ面へと進む。社会面は興味のある記事を拾い、その先にある経済面、政治面は、ほとんど読みませんでした。

ところが、最近、逆になったのです。一面から政治面に入り、政治面を割に丁寧に、国際面を興味に従って読む。経済面はわかりませんから、相変わらず読みませんが・・・。

テレビも同じで、ニュースや報道番組ばかり見ています。今の番組は本当にどれもタレントがわいわいやっているものばかりで、もはやまったく見る気がしないのですが、夜8時からBSフジでやっている「プライムニュース」という番組(10時まで2時間!)は、干天の慈雨のような存在です。

非政治的という傾向が変わったわけではないので、こうなったのは、自分でもとても不思議です。誰でも通る道、でしょうか。

遅ればせ年賀状2011年01月03日 21時17分55秒


やっと年賀状を作成しました。といってもレイアウトは子供の作で、私は自分用の文章を書き込んだだけです。

このところ、いただいてから出すという不届きな流れが、常態化してしまいました。したがって、いただいた賀状を先に読んでいるわけですが、気がついたことがあります。それは、元旦にきちんと届く年賀状が得てして型通りの、簡素なものであるのに対し(もちろん例外はあります)、3日あたりに届く年賀状にはさまざまな書き込みがあって、読みがいがあるものが多い、ということです。おそらく、期日を優先する人とそうでない人があり、後者の、つまり遅くなってから書く人には心に咎めるものがあって、つい文章サービスしてしまうのではないでしょうか。

でもそれって嬉しいですね。儀礼とはいっても、やっぱり通信には、情報価値が必要です。ちょっと時間を使ってくださると、気持ちが伝わります。もちろん上のような賀状を十把ひとからげに送っている私に言えることではないのですが、整理に大わらわの初日より、少し落ち着いてからの方がゆっくり向き合える、というメリットもあるようです。



謹賀新年2011年01月01日 11時26分14秒

皆様、明けましておめでとうございます。昨年はありがとうございました。今年もよろしくお願いします。

今年は、大きな区切りの年です。なぜなら、4月からの年度が、大学における最後の年度となるからです。ゴールに向けて最後の坂を登っていた昨年と、まったく予想のつかない来年の間にはさまれて、今年があります。つつがなく完走し、きれいな引き際をお見せしたいと思っています。

私の今年のテーマは、《ロ短調ミサ曲》です。くにたちiBACHコレギウムによる上演を準備し、その前に、ヴォルフのモノグラフィの翻訳を出版します。ドクターコースの人たちとの勉強を進めて、湯川さんに続く博士第2号を生み出すことも、責任のある課題です。その他さまざまな企画やイベントがありますが、それらについては、その都度ご案内させてください。

去年、大量のツキを消費しましたので、そうそう順調にはいかないだろうと気を引き締めています。体調はいいのですが、無理をしている感じもかなりありました。なんとか余裕をもち、できるだけ内容のある仕事をして皆様にお返ししたいと思います。どうぞ変りないお付き合いをお願いいたします。

2010年回顧2010年12月31日 13時58分32秒

今年も、あと10時間。押し詰まらないうちに、振り返っておきたいと思います。

今年は、私の生涯のうちでいちばんいい年であり、いちばん忙しい年でした。これは多分、不正確な感想でしょう。体力にまかせて動いていた多忙な年は以前たくさんあったはずですし、「いい年」も過去さまざまに訪れては、遠ざかっていったに違いないからです。でも今年の終りに上記のような感慨があることは、まぎれもない事実です。

私の人生は、ここへ来て、かなり変わってきました。実践とのかかわりが、ずっと広く、深くなってきたのです。解説を書くだけなら学生の頃からやっていましたが、企画の仕事が増え、現場を取り仕切ることが多くなってきました。しかも音楽大学とその周辺において、そうなっているのです。音楽が好きで、それがあればこそ打ち込んだ研究でしたから、一種の自己実現として、この流れを受け止めています。

こうした傾向を踏まえて、今年の十大ニュースを選んでみると・・・

1.モンテヴェルディ《ポッペアの戴冠》上演(12.26)--新しい領域を仲間たちと開拓できたことにより。
2.バッハのカンタータ演奏会(12.14)--3年間にわたるバッハ演奏研究プロジェクトの総仕上げとして。
3.後期博士課程における研究教育の進展、とりわけ湯川亜也子さんの博士号取得--今年もっとも時間を費やしたことと、その嬉しい見返りとして。
4.NHK「バロックの森」放送の開始。個別的には、アーノンクール《ロ短調ミサ曲》の生放送を挙げるべきかもしれません。
5.『バッハ=魂のエヴァンゲリスト』の文庫化--25年ぶりに、自分の原点と向かい合いました。
6.聖心女子大学への久しぶりの出講--すばらしい大学であると再認識。
7.日本音楽学会会長としての活動、その再選--周囲におんぶしていますので、重要ですが上位にはできません。
8.いずみホールのコンサート活動、とりわけバッハのオルガン作品連続演奏会--やっぱりステージに乗ったものが心に残ります。
9.「楽しいクラシックの会」24年目の活動--いわば私のふるさと。
10.ワイン嗜好の進展--人生の豊かさとして。目下の好みはシチリアの赤ワインです。

周囲の方々に恵まれ、健康にも恵まれて、一年を終えることができました。皆さんに感謝します。どうぞよいお年をお迎えください。