新著できました2009年01月19日 20時36分56秒

今日、私の新著『バッハ/カンタータの森を歩む3 ザクセン選帝侯家のための祝賀音楽/追悼音楽』(東京書籍)ができあがってきました。解説されているのはBWV193a、198、205a、206、207a、213、214、215、Anh.9、Anh.11、Anh.12、Anh.13の12曲で、BWV213(ヘラクレス・カンタータ)のCDがついています。演奏は、バッハ・コンチェルティーノ大阪です。値段はちょっと上がって、3,800円になりました。

帯の裏面に、「あとがき」からの1節が引用されています。ここでもそれを引用しておきましょう。「バッハは、ライプツィヒ時代(1723-50)の27年間、ザクセン選帝侯国の住民であった。バッハの領主はヴェッティン家の選帝侯であり、選帝侯は同時に、ポーランド王であった。したがってバッハは、事実上ポーランド国民でもあったことになる。ザクセン選帝侯=ポーランド国王とその一家のためのカンタータは、祝賀のにぎやかな式典に演奏されたり、記念日にコーヒー店で演奏されたりした。それらは、教会の礼拝を目的とした教会カンタータ群とは、まったく異なった環境で鳴り響いたのである。このため本巻の研究も、バッハの時代における政治や国際関係、社会や風土の歴史に注意を払いながら進められた。これは私にとって新しい課題であったから、私は研究を通じて多くのことを学び、しばしば、目からうろこの落ちる思いがした。そこから見えてきたのは、バッハにおける聖と俗の深い、密接なかかわりであった。」

万全を期したつもりでも、間違いは、手に取ったとたんに判明するものです。今収録作品を写していて、BWV193aとあるべきところが、表紙でAnh.193aとなっていることを発見。それは仕方がないですが、「あとがき」でCDの録音場所を「いずみホール」と記しているのは重大な記憶違いでした。巻末のデータにある通り、「相模湖交流センター」が正解です(柴田さん、ごめんなさい)。いきなりこれじゃ、宣伝になりませんね。でも、買ってください(笑)。

コメント

_ 柴田 ― 2009年01月20日 22時36分00秒

燻し出されてやってまいりました。いや、別にお詫びしていただくようなことではございません。それよりむしろ、ホールの違いが容易には分からないほど、煮詰めた設定で録音できていることの証であるということで、名誉なことと受け取らせていただきます。ちなみに「相模湖交流センター」という名前を聞くと、どこの公民館かと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、相模湖の近くにある県営の立派な音楽ホールです。なかなか響きも良く、色々な演奏家がレコーディングにも利用しています。付録CDには、もちろん人工的な響きはいっさい加えていませんので、自然な音響を存分にお楽しみいただけると思います。

_ 柴田 ― 2009年01月25日 22時31分11秒

拝読しました。まだ序章の「総論」のあたりだけですが。

いつもながら、親しみやすく分かりやすい語り口で、鋭いことが書かれていて感服します。しかし今回、ページをめくってまっ先に引き付けられたのは、ご自身で撮られたエルベ川沿の写真でした。後ろの方の城や教会なども含めて、アングルが素晴らしく、プロ顔負けの写真だと思いました。全体的に図版が大きくきれいですね。

やはり読者の立場で手に取ってみると、解説されている全曲の演奏録音を付けて欲しいと思う気持ちは否めません。作る側からすれば、かなり難しいだけでなく、コストが恐ろしくかかってしまうのは目に見えているわけですが。CDの解説書ではなく、解説書の付録のCDなわけですし...

ざっとページをめくってみても譜例は多いですね。それが一般に本が売れなくなる原因になるとは信じられませんが、確かに楽譜がそのまま頭の中で音になる人でないと、何か楽器を持ち出して弾いてみたりするのは手間に感じられるでしょう。付録のCDにデータとしてMIDIを入れたりすることを考えられても面白いかもしれません。それなら、ちょっとした人件費以外、ほとんどコストの増加は招きませんし。自筆譜のファクシミリもところどころにあって、楽譜が読めなくてもビジュアル的に楽しめるのはいいですね。

このシリーズも含め、こうした企画が、またいろいろと続くことを願っています。

_ 柴田 ― 2009年01月28日 18時53分26秒

今、アマゾンの、
本 > アート・建築・デザイン > 音楽 > クラシック > 18世紀・古典派以前
のカテゴリーで2位になってますね。1位はちょっと違うんじゃないか?という類いの本なので、実質1位ということかと。

_ 柴田 ― 2009年01月28日 21時22分01秒

ついに上記カテゴリーで1位になりましたね。
おめでとうございます。
何度も失礼しました。

_ I教授 ― 2009年01月29日 00時01分44秒

地味な曲ばかりの本なのに、嬉しいですね。柴田さんはじめ、皆さんのおかげです。

_ koh ― 2009年01月30日 21時55分44秒

読ませていただきました。先生の他のご本と同様、興味深く、いっきに読んでしまいました(CDはまだですが)。
バッハのあの時代に王位継承戦争などとどろどろしたことをやっていたのですね。西洋史は高校生のとき習って右耳から左耳へ抜けさせてしまったきりですが、あらためてまたかじってみたくなりました。

ザクセン選帝侯妃ゆかりの地訪問は、前のブログで詳しく解説なさっていたあのときのものですね。リフキンさん指揮の演奏会(東京)は聴かせていただきました。ついこの間のように思っていましたが、2004年、もう4年以上も前のことでした。

142ページ、4~5行目で「・・・深い宗教性を讃えている・・・」とありますが、「讃える」は「湛える」の変換ミスでしょうか。

_ I教授 ― 2009年01月30日 22時05分16秒

kohさん、ありがとうございます。ご指摘のミスを直すためには、増刷を勝ち取らなくてはなりません。がんばります(笑)。

_ Bors ― 2009年05月13日 19時47分00秒

礒山先生、こんにちは。先生のカンタータの森第一巻でカンタータのすばらしさを教わって以来第三巻までざっとですが読んでCDも聴きました。有名なカンタータ以外にも人を感動させる曲があるのだなと発見させられました。それ以来カンタータの隠れた名曲の発見の楽しみができました。収録曲も、第3巻も第1巻も楽しんだのですが、第2巻の収録曲に、背筋が寒くなるほどの感動を覚え、何度も何度も聴きました。BWV55が震えるほど感動しました。BWV51の Höchster Mache Deine Güte Ferner Alle Morgen Neu の曲もすばらしいです。先生のお好きなカンタータを2,3曲紹介していただけませんでしょうか?先生の次の著作を楽しみにしております。

_ I教授 ― 2009年05月13日 22時50分27秒

Borsさん、ありがとうございます。お返事はこれから更新するブログに書きますのでお読みください。

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