悲観主義2009年04月15日 23時40分49秒

「ツキの理論」などを述べているせいか、私の「悲観主義」を指摘なさる方が多くなりました。たしかに、冗談を言うときなど、私の心にはとっさに、悲観主義の回路が働きます。概して、悪い結果に備えようとする傾向があるようです。

私が大学生の頃に三島由紀夫に心酔していたことと、それは関係があるのかもしれません。私の心酔は、政治思想とか薔薇の花関係とかいうことではなく、三島の中にあるニヒリズムの傾向に向かっていました。真の文学とは、この世には何もないということをこれでもかこれでもかと教えてくれるものだ、と、彼の著書にあったことを覚えています。

今から振り返ると、こうしたことに象徴される「懐疑の洗礼」とでも言うべきものが、当時の私を襲っていたようです。今の私はニヒリズム信奉者では全然ないですが、「この世には何もない」と思った時期があることによって、「しかしある」もののありがたさを、深く感ずるようになったと思います。何かを信じるためには、徹底して疑う段階が、どうしても必要です。疑うだけで終わっては、もちろんだめなのですけれど。

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