笠原さんの受賞2010年01月24日 08時56分27秒

23日は、池袋の立教大学へ。長期にわたって非常勤講師をつとめた大学で思い出もたくさんありますが、出かけるのは久しぶりです。今日はその上品なチャペルで、故笠原潔さんの表彰式があるのです。

立教大学がキリスト教音楽の研究者を対象に、辻荘一先生を記念する賞(学術奨励金)を制定したのが、1988年。第1回の受賞者として、『魂のエヴァンゲリスト』を出版して間もない私を選んでいただきました。私のその後の活動にとって、この賞をいただいたことの意味は大きく、たいへん感謝しています。今回は第22回目になりますが、いつからでしたでしょうか、「辻荘一・三浦アンナ記念学術奨励金」として、キリスト教芸術の研究者を広く顕彰するようになりました。その対象には、物故者も含まれています。このため、笠原さんの受賞が可能になりました。

授与式は、オルガン演奏、聖書朗読、讃美歌など、完全な礼拝スタイルで進行します。受賞者のスピーチに代えて、笠原さんが最後に手がけた放送大学のシリーズ「西洋音楽の諸問題」から、幕末の洋楽史に関する2つの部分が放映されました。私も、バッハで2回分担当させていただいたシリーズです。

久々に対面した笠原さんは若々しく、テレビ映りといい、流暢な語りといい、貴重な資料を整理して盛り込む手際といい、抜きんでたものでした。圧倒的に幅が広く、どんなことも器用にこなし、たえず行動を怠らないという得難い存在でしたので、57歳で亡くなられたのは、音楽研究の世界にとって大きな損失です。その貢献が新たに評価されて、本当によかったと思いました。

あとの予定が動かせなかったので、放映が終わると同時に退席。パーティにも出席できず、申し訳ありません。