ダブルブッキングで激震2010年03月30日 11時38分33秒

私がダブルブッキングをしたって、いまさら、ニュースでも何でもありません。「またか」というだけのこと。でもそのことをあえて書くのは、楽しみにしておられる方が一定数、存在するらしいからです。しばらく書かずにいると、「最近ダブルブッキングないですねえ」と物足りなそうにおっしゃる方が、まあ他人の不幸は蜜の味といいますが、おられるのですね。

私の企画構成によるモーツァルト・コンサート(立川アミュ)のリハーサルに入ったところで、NHKからメールが入りました。明日、1時にお待ちしてる、との由。思わず気が遠くなりました。私は、3日間続く録音がいずれも午前10時からという前提のもとに、2時から、新聞社を訪問することにしていたのです。大阪の記者さんとの間で再三時間調整を行い、この時間を設定しました。取材ですから、カメラマンも入る。しかしNHKの方もスタジオが確保され、技術さんも入る。さあ、どうしましょう。

すぐには結論が出ませんので、とりあえず忘れて、リハーサルに専念。ここでもツキの理論が登場します。これなら、コンサートはうまくいくだろう、という考えです。果たしてコンサートはうまくいき、同僚たちと一緒にコンサートを作る喜びを満喫しました。作品のことで言えば、この曲すごいなあ、と鳥肌ものだったのが3曲。《コシ・ファン・トゥッテ》の海辺のセレナードと大詰めの二重唱、《魔笛》のパミーナ/タミーノの二重唱です。とくに《コシ》の二重唱は、あらためて、モーツァルト最高のページの1つではないかと思いました。始まったとたんに涙が出てくるくらい、すばらしいと思います。高橋薫子さん、大間知覚さん、ありがとうございました。

終演後、プリマドンナを囲んで打ち上げ。楽しかったのですが、時間を使った分、ツケも翌日にまわりました。

ダブルブッキングではなかったようで2010年03月31日 23時19分36秒

30日。無理矢理起床して、毎日新聞社へ。そう、大阪の記者さんに早朝来ていただくという条件で、インタビューを午前中に移すことに成功したのです。私のダブルブッキングを期待しておられる方のために、もう少し劇的な展開を用意して差し上げたかったのですが、すみませんね。なんとか切り抜けることができました。

インタビューは、ひとりの人間が20年間民間ホールの企画を続けるのは珍しい、という前提で、いずみホールの20年の意義を考える内容でした。たくさんの思い出が脳裏をよぎりましたが、ひとつだけ間違いないことは、「実践とのかかわり」という私の売りが、いずみホールでの経験で培われたものだ、ということです。その経験が、たとえば大学での仕事に、大きくフィードバックされています。

その日の午後と、今日の午前中、「バロックの森」の録音。4月最後の週の分です。30日(金)、すなわち私の誕生日の放送分に凝りました。《ブランデンブルク協奏曲》第5番を中心に、その初演の様子を想像しながら、かかわりのある作品を聴く、というものです。この曲の成立は今、ドレスデンにおける「マルシャンとの音楽試合」とかかわらせて説明されるようになっているのですが、その理由の大きなものは、第2楽章がマルシャンの作品の引用になっている、ということです。

できればその原曲を流したい、と思い、CDを探していました。そうしたら、前の日に石丸電気で見つけることができたのです。そこで、マルシャンの原曲を聴き、フルートのソリストであったと想定されるビュファルダンのコンチェルトで締める、というプログラムが完成しました。これは、聴く価値があろうかと思います。

収録後、タクシーで新国立劇場へ。《神々の黄昏》のチケットをいただいていたので(←プログラムに執筆)、疲れてはいましたが、出かけました。入場しようと思ったら、ホールが静まっている。確認すると、公演は30日だったんですね。そうか、昨日は、ダブルブッキングではなく、トリプルブッキングだったのか。

主催者には申し訳ないことをしましたが、ありがたい、半日休める、と思ったことは事実です。時間ができましたので、遅れていた松居直美さんのための原稿の下書きをすることができました。かくして、3月終了です。