楽しい発見2010年07月04日 10時39分17秒

「バロックの森」では、結構マニアックな曲をかけています。もう少し親しまれている曲を増やした方がいいかな、と思ったりしますが、そういうマニアックな曲を、私が全部知っているわけではない。買い集めては勉強しているわけで、その過程で、思わぬ出会いがあります。

4月にコラール《心からあなたを愛します、おお主よ》の特集をしました。そのときに集めたCDの中に、アンドレーアス・ハマーシュミットのモテット集がありました。曲は似て非なるもので使えませんでしたが、たいへん美しい作品が集められており、1回特集しようと考えて、器楽曲も購入しました。

生涯を調べてみると、20代の頃は、フライベルク(ザクセン)の聖ペトリ教会で、オルガニストをしている。ちょうどこの教会のジルバーマン・オルガンを使ったCDの仕事をしたばかりでした。ただし、ジルバーマン・オルガンが建造されたのは、ハマーシュミットよりあとの時代のことです。

その後生涯を過ごしたのがツィッタウで、職場が聖ヨハネ教会だったというのには驚きました。結婚カンタータBWV216の研究のためにナイセ河畔のツィッタウを訪れた話は『救済の音楽』に書きましたが、ドイツの最東端、ポーランドとの国境にあるこの都市の、さいはて感も含む静かなたたずまいは、強く印象に残っています。その中心に聳えている聖ヨハネ教会のこともよく覚えていますが、17世紀半ば、そこにハマーシュミットというオルガニストがいて、美しいモテットを書いていたということは知りませんでした。感動しましたね。

モテット集を演奏しているのはウェーザー・ルネサンス・ブレーメンという団体ですが、透明感のある演奏で、ソプラノの美しさがきわだっています。名前を見るとズザンネ・リュデーンさん。まさに結婚カンタータを歌ってくださった名歌手です。いろいろなことがつながってくるものだなあ、と思うことしきりです。