奮闘及ばず2010年07月22日 21時57分46秒

暑いですね。皆様、お元気でしょうか。今日はNHKの録音日でしたが、失態を演じました。

録音には、2つの段階の作業があります。第一段階は、テーマと時間に合わせた選曲と、使用CDの決定。時間がかかりますが、楽しい作業です。それが終わると、CDを、アシスタントの方々に送付します。CDは手元を離れますが、同じものを大学から借り出して、コメント執筆に使う。それが合理的だとわかりました。

今回もCDはすでに送ってあったのですが、執筆の時間がなく、未明に起き出して、執筆を開始しました。計算上は、十分に時間があります。ところが、2日連続で未明起床したためでしょうか、途中で、すごく疲れてきてしまったのです。筆が進まない。迷った末決断したのは、朝ではありますが、ビールを飲みながら仕事することでした。仕上げて送ってから、1~2時間寝よう、と計画しました。

ところが意外に時間がかかり、とうとう、ビールは飲んだが睡眠はとっていない、という限界状況で、家を出ることになりました。原宿からタクシーに乗りましたが、スタジオに入るのが、20分も遅れてしまいました。

スタジオで待機していてくださるアシスタントは、K嬢、Y嬢のお二人。誰ですか、二人合わせてKY嬢だ、などと言うのは。私はそんなこと、一言も言っていませんよ。そういう人たちではありません。

平身低頭でスタジオに入っていくと、K嬢が、「先生、どうやって来られましたか?バスですか?」とお聞きになります。何でそんなことを聞くんだろう、と思いつつ、「タクシーですが、なぜですか」と答えました。するとK嬢、「あまり汗をかいておられないので」とおっしゃるのです。私は察知しましたね、そのトーンに、失望感が混じっていることを。どうやらお二人は、私が猛暑の中を走り、汗みどろで、息も絶え絶えに到着すると思っておられたようなのです。K嬢は強く否定されましたが、私も、感受性の強い人生を60年も送ってきた人間。人さまの思いは、手に取るようにわかります。涼しげに到着してしまい、失礼しました。

スタジオの緊張感で疲れは吹っ飛びましたが、結局は、20分の遅刻が致命傷に。3本収録の予定が、2本で時間切れになってしまったのです。たいへん申し訳なく、平身低頭です。次回、4本収録をがんばります。

今日収録したのは、8月16日から始まる週の分です。8月は、ドレスデンの宮廷音楽を年代順に特集しました。16日(月)は、シュッツの《シンフォニエ・サクレ》です。シュッツには謹厳なイメージがあると思いますが、《シンフォニエ・サクレ》は彼のもっとも派手な、表出性に富む作品ですので、聴き応えがあるはずです。第1部~第3部から、11曲の宗教コンチェルトを選びました。

17日(火)は、17世紀の4人の作曲家、ファリーナ、ベルンハルト、アダム・クリーガー、ヴェストホフを並べました。知られざる佳曲を並べた、ちょっと自慢のプログラムです。ベルンハルトの宗教コンチェルトからとても美しい曲を見つけましたし、クリーガーの歌曲、ヴェストホフの無伴奏ヴァイオリン曲も、なかなか。どうぞお聴きください。あ、時間切れになってしまった18日(水)は、ゼレンカの特集です。