2010年回顧2010年12月31日 13時58分32秒

今年も、あと10時間。押し詰まらないうちに、振り返っておきたいと思います。

今年は、私の生涯のうちでいちばんいい年であり、いちばん忙しい年でした。これは多分、不正確な感想でしょう。体力にまかせて動いていた多忙な年は以前たくさんあったはずですし、「いい年」も過去さまざまに訪れては、遠ざかっていったに違いないからです。でも今年の終りに上記のような感慨があることは、まぎれもない事実です。

私の人生は、ここへ来て、かなり変わってきました。実践とのかかわりが、ずっと広く、深くなってきたのです。解説を書くだけなら学生の頃からやっていましたが、企画の仕事が増え、現場を取り仕切ることが多くなってきました。しかも音楽大学とその周辺において、そうなっているのです。音楽が好きで、それがあればこそ打ち込んだ研究でしたから、一種の自己実現として、この流れを受け止めています。

こうした傾向を踏まえて、今年の十大ニュースを選んでみると・・・

1.モンテヴェルディ《ポッペアの戴冠》上演(12.26)--新しい領域を仲間たちと開拓できたことにより。
2.バッハのカンタータ演奏会(12.14)--3年間にわたるバッハ演奏研究プロジェクトの総仕上げとして。
3.後期博士課程における研究教育の進展、とりわけ湯川亜也子さんの博士号取得--今年もっとも時間を費やしたことと、その嬉しい見返りとして。
4.NHK「バロックの森」放送の開始。個別的には、アーノンクール《ロ短調ミサ曲》の生放送を挙げるべきかもしれません。
5.『バッハ=魂のエヴァンゲリスト』の文庫化--25年ぶりに、自分の原点と向かい合いました。
6.聖心女子大学への久しぶりの出講--すばらしい大学であると再認識。
7.日本音楽学会会長としての活動、その再選--周囲におんぶしていますので、重要ですが上位にはできません。
8.いずみホールのコンサート活動、とりわけバッハのオルガン作品連続演奏会--やっぱりステージに乗ったものが心に残ります。
9.「楽しいクラシックの会」24年目の活動--いわば私のふるさと。
10.ワイン嗜好の進展--人生の豊かさとして。目下の好みはシチリアの赤ワインです。

周囲の方々に恵まれ、健康にも恵まれて、一年を終えることができました。皆さんに感謝します。どうぞよいお年をお迎えください。