神様の後押しで2010年12月29日 14時21分05秒

いきなり書きこむのは気が引ける、という空気があるようですので、私から、少し書かせていただきますね。

オペラをご覧になる方は、気に入った歌い手を見つけようとするものです。それもまた、鑑賞の楽しみ。しかし《ポッペアの戴冠》in Suzakaの場合、それは困難ではなかったでしょうか。なぜなら、適材適所の配役(←自慢させてください)のもと全員がベストを尽くし、レベルの揃ったアンサンブルを繰り広げていたからです。いったんお気に入りを見つけても、新しい歌い手が登場するたびに再考を迫られる、という状況になっていたのではないかと思います。

歌のレベルが高かったというのは、指導された渡邊、平尾の両先生はじめ、いろいろな方がおっしゃってくださったことです。これは両先生のご指導のたまもの、出演者の才能と努力のたまものであるわけですが、「くにたちiBACHコレギウム」における最長3年のバッハ経験と、ドクター論文に取り組むことによる知的な鍛錬が、大きくプラスしているように思えてなりません。それなくしては、様式感を踏まえた、洞察力に富むモンテヴェルディ演奏はあり得なかったと思うからです。ただ優秀なソリストを集めただけでは、日曜日の演奏は成立しなかっただろうと感じています。

そうなると、大元にあるのは、大学に後期博士課程が設立され、そこに入学してくる優秀な声楽学生の論文指導を私が担当するようになった、という事実です。でもまさかそこからモンテヴェルディの公演が可能になるとは、思いもよりませんでした。このありがたい流れを後押ししてくれた神様は、〈幸運〉でしょうか〈美徳〉でしょうか、それとも〈愛〉なのでしょうか。