驚嘆の多重世界2011年04月29日 07時11分58秒

佐藤俊介さんの「無伴奏ヴァイオリンの世界」、28日にいずみホールで行われました。プログラムは、前半がバッハの第2ソナタ、第3パルティータ(バロック・ヴァイオリン)。後半はイザイの第2ソナタとパガニーニの《24のカプリス》から3曲(モダン・ヴァイオリン)。難曲ぞろいですが、それだけにすごさが際立ちました。

いろいろすごいのですが、格別なのは、旋律や和音が多重的に重なる部分の音程の正確さ、響きの美しさ。単体のヴァイオリンに託されたポリフォニーが手に取るようにくっきりと再現され、自然かつ爽やかなのです。演奏者は透明になり、音楽だけが精緻を極めつつ湧き上がって止むことがない、という趣でしょうか。とてつもなく耳のいい方なのだろうと思います。

「ディレクターズ・セレクション」の第1回として、佐藤さんをお招きしました。ですから、冒頭のご紹介は的確なものにしたかったのですが、途中から言葉を失ってしまい、肝心なことをいくつも言い忘れてしまいました。少なくとも、佐藤さんが本当に勉強される方で、作品を極める過程でご自身の中からバロック・ヴァイオリンを発見されたことは、言っておくべきでした。名演奏に救っていただきましたが、自分としては30点です。これからは、なるべく書いておくようにします。

今日は休日授業日。朝2番の新幹線で東京に向かっています。そろそろ静岡です。