超満員2012年05月06日 13時31分28秒

連休のさなか、東京文化会館小ホールで、「松本」と名のつく団体による、バッハ《ブランデンブルク協奏曲》の全曲コンサート。入場者はどのぐらい、と読むのが普通でしょうか。チケットを売る苦労をしたことのある人であれば、厳しく読むのが普通でしょう。私も、そう思っていました。

ところが。満員札止めで補助席の出る盛況というのは、近過去には記憶がありません。いろいろな努力があったのだろうと思いますが、これはやはり、小林道夫先生の長年のお仕事に対して培われた信頼と尊敬のたまものでしょう。すごいですね。

プレトークをやる立場からすれば、これはとてもありがたいこと。なにしろ自由席なので、トークを始める時刻、すなわち開演の45分前には、会場があらかた埋まっていたのです。そうなると高揚するというのは、演奏家の方々と同じ。ただスクリーンに限界があり、映しだす自筆譜の見にくい席がずいぶんできてしまったのは、申し訳ありませんでした。

控え室が、先生と同室になりました。久しぶりにお話しましたが、爽やかで配慮にあふれたお人柄に、まったく老いが感じられません。君も本当にいい仕事をするのはこれからだ、というお言葉をいただいて恐縮。14年後にこういう風である自信は、まったくありませんよ。

こういう先生がチェンバロに座っているので、コンサートではとりわけ第5番が心にしみました。今回はコンサートマスターの桐山建志さんがかなり主導権を分担されていましたが、そんな形で、長く続けられればいいですね。それにしても桐山さんは、演奏、教育からこうしたコンサートのプロデュースに至る膨大なお仕事を、いつなさるのでしょうか。高貴な演奏に一点の曇もないだけに、不思議でなりません。