真意はどこに2012年05月17日 11時23分31秒

言葉を使うのを商売にしているとさけて通れないのが、レトリックです。バロック音楽ではレトリックが語彙になっていますから、私の研究対象でもある。しかしディベートの手段となるような、言いくるめ、言い逃れのようなレトリックは、私のもっとも忌避するところです。政治の世界では(裁判の世界でも?)、そういうレトリックが多いですよね。

いまレトリック分析の対象になっているのが、橋下大阪市長です。分析しがいのある対象だと思いますがまだ私にはその用意がないので、今日は別の話。レトリックなのかどうなのか、どうにも真意がわからないのが、鳩山由紀夫さんの発言です。

先般、イランを訪問して大統領に友愛を説いた、という報道がありましたよね。良かった、また訪問したい、とおっしゃっているそうです。でも、行動の趣旨は何でしょう。2つ考えられます。心を込めて友愛を説けば異国の大統領も理解し、政治が変わってくるはずだ、と思っている。もうひとつは、そんなことで政治は変わらないと承知しているが、自分がそういう活動をしている姿を見てもらいたいと思っている。

後者でしょうか。それも好ましくはないですが、そういう人はたしかにいるし、いることも理解できます。しかし前者だとすると、私にはとうてい理解できないし、深刻だと思う。上に立つ人には、冷厳な現状分析と人間へのシビアな眼が前提として必要だと思うからです。先日まで日本を預けた人だけに、どうも納得がいきません。