ケージ問2012年09月05日 23時17分43秒

今日、9月5日は、ジョン・ケージの生誕100年の日だったそうですね。ケージといえば私の周囲にたくさんのファンがいます。しかし私は、まだ、どう聴いていいかわからないでいる段階。そこで、宮田まゆみさんの”One9”を聴きにでかけました(サントリー・ブルーローズ)。これは晩年のケージが宮田さんのために作曲した、笙独奏の大曲です。

宮田さんとは長い知り合いですが、本当に立派になられましたね。冒頭、持ち前の楚々とした口調でおっしゃるには、静かに耳を澄ます曲なのでリラックスして聴いていただきたい、とのこと。静かに耳を澄ますというのは、私が最近価値として強調していることです。私は喜び、リラックスして耳を澄まそう、と思って聴き始めました。

響いてくるのは、微妙な差異をはらみつつ進む、天国的な笙の響きです。リラックスして耳を傾けるうち、私はいつしか、ぐっすり眠ってしまいました(汗)。いびきでもかいたら大変ですから、しまったと目を覚まし、神経を張り巡らせて、響きに集中。あれ、でも緊張しちゃダメなわけですよね。音楽も、ロジックを追うようにはできていません。

そこで客席を見回すと、ここだけの話ですが、生き生きと聴いておられる方も多い一方で、かなりの人が寝ています(笑)。そこで思ったのは、ヒーリング効果で寝るのはかまわないのか、やはり寝てはいけないのか、そういうことを考えること自体必要ないのか、ということ。10~15分の曲が10曲あり、休憩なしに進行しますので、微細な変化に富むとはいえ、単調に思えることも事実。そう思って軽い諦念を覚えたところで、そうか、心を空っぽにして、無我の心境で聴けばいいのではないか、と気づきました。

でも悲しいかな凡人で、すぐに無我の心境にはなれないのです。宮田さんが精魂尽くしたたいへん立派なコンサートでしたが、私がケージの世界に入っていくには、もう少し時間がかかりそうです。