ステージから転落(3)2012年09月13日 23時57分46秒

ステージの高さは腰ぐらいですから、落下に要した時間は、1秒ぐらいでしょう。しかし、随分長く感じました。体感的には、5秒から10秒近くあった。その間、いろいろなことを考えました。すぐ思ったのは、これは良いネタになるな、ということ。かつての大ネタ、コインロッカーのことも、頭をよぎりました。

だから、落下中恐怖で髪の毛が逆立っていたわけでも、怪我を恐れて顔がひきつっていたわけでもないのです。むしろ、離れたところから自分を見下ろしているような、ゆったり感があった。これって、巷で言われていることですよね。高いところから落ちた人は、一生の出来事を走馬灯のように思い浮かべる、という話もあります。どうやらそれは、事実であるように思われます。

脳内モルヒネの分泌というのは、このことを言うのでしょうか。こういうとき心身が自動的にセーフモードに入るのだとすると、バンジージャンプのような恐ろしいことが気持ちがいいというのもそれによるのだろうし、死ぬときだって、案外気持がいいのかもしれません。

さて。落下しているうちに身体が一回転し、丸まった形で横倒しに着地しました。左足の親指を打ったか捻ったかしましたが、危ないところは打たなかった。まさお君の言葉を借りれば「絶妙の受け身をとった」そうで、「先生は柔道をなさったんですか!」と言う方があったぐらいです。もちろん柔道も体操もまったくダメですが、じつに幸運でした。

ちなみに転落は、講演に対して、絶妙の効果を及ぼしました。うとうとしていた方々もすっかり覚醒され、会場のテンションが上がって、大きな盛り上がりが生まれてしまったのです。

左の親指は翌日痛くなり、痛風の歩き方になってしまいました(←超遅い)。今日はもう、大分良くなっています。このオチで満足していただけるかどうかたいへん心許ないですが、読んでいただき、ありがとうございます。

〔付記〕ステージのへりに目印を入れて落下を防ぐことは、設計の段階で、じつは検討されたのだそうです。しかし建物の目的に照らして、そんな人は出ないだろう、という判断になったとか。まさかの実例を提供してしまいました。