自然との共生2013年02月04日 23時35分11秒

「自然との共生」。最近よく言われることで、価値のあることだと思いますが、たいへんな難題であることに気づかされました。自然と触れあいつつ、豊かに生きたいと思っておられる方は、たくさんおられることでしょう。しかし自然は時に牙をむき、災害をもたらす。このことは必然的に、防災の観念を生み出します。

ナイル川が毎年氾濫することは、災いと同時に、青ナイルからの沃土という恵みを住民に与えました。しかし20世紀の人々は、アスワン・ダム、アスワン・ハイダムの建設によって、治水を優先した。その功罪については、専門家の間でも意見が分かれているようです。たしかに、両面あるに違いないと思います。

星空を見る体験は、人間の精神的成長に、かなりの影響を与えるはずです。しかしそのためには、闇がなくてはならない。闇は危険ですから、人間は街灯を整備します。しかしそのもとで育った人は、銀河や彗星を見る機会がありません。

先日、富士市の海岸で防波堤に登り、富士と駿河湾の大景に接した、と書きました。逆に言えば、登らなくては海が見えなかった、ということです。このあたりの海岸にはかなり高い防波堤が巡らされ、災害に備えています。いいことだと思いますが、欠点もある。海岸で暮らす人たちがある意味で海を奪われ、防波堤というコンクリートの中で日々を送ることになるからです。

その利害得失には、いろいろな考え方がありうるでしょう。住んでおられる方がどう思っておられるのか、私にはわかりません。しかし人為的な環境のもつ弊害も、考えてみたいと思います。

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