ドイツ旅行記2013(10)--バッハ祭終わる2013年06月30日 23時38分10秒

 クラインチョッハーから戻った私は、クロージング・コンサートの曲目である《ロ短調ミサ曲》の解説を行った後、ヴォルフ先生と面談。広報として大活躍しておられる高野明夫さんも同席されました。ヴォルフ先生は、大阪のオルガン・シリーズが好調であること、《ロ短調ミサ曲》の訳書が重版になったことをとても喜ばれました。バッハ祭の仕切りは今年が最後だそうですが、まれに見る盛り上がりになったのはなによりでした。

 トリの出演者は、ゲオルク・クリストフ・ビラー指揮の、聖トーマス教会合唱団とフライブルク・バロック・オーケストラ。トーマス教会は、2階席で聴くと演奏者を(巨大な柱に邪魔されながらも)見ることができますが、1階席は祭壇に相対して(ないし直角に)座り、背後から降ってくる音を聴くことになります。でもこれが教会本来の鑑賞法で、なかなかいいのです。耳から集中する鑑賞法を、教会の音響効果の良さが助けてくれます。この日は、この形で鑑賞しました。

 ただ、演奏が・・。悪いことは書きたくないのですが、ここまで克明に書いてきているので、最低限、書かせていただきます。私には、この演奏が何をやろうとしているのか、わかりませんでした。いくら聴いてもそうで、耳あたりのよい響きが起伏も緊張もなく、淡々と重ねられていくだけでした。子供たちはむずかしい曲をしっかり歌っていたと思いますが、バッハの後継者であり、世界で本場を標榜する演奏を展開している人が、バッハが精魂傾けたこの曲にこの演奏、というのは納得できません。じつにすばらしい今年のフェストだっただけに、残念な締めとなりました。

 24日(月)。空港で、すっかり仲良くなったツアーの方々とお別れ。朝日サンツアーズの旅行、とても良かったですよ。チケットもすべていい席で取れていましたし(私も参加してくじ引きしていました)、添乗員さんも献身的。海外旅行のさいには、候補にお加えください。

 トランクを空港に預けた私は、フリーの単独行に入りました。最初の目的地は、ヴォルフェンビュッテル。当地のアウグスト大公図書館で、神学書を勉強するためです。

コメント

_ taisei ― 2013年07月02日 00時27分26秒

やはりそうでしたよね~。トーマス聖歌隊の少年たちは一生懸命歌っていましたが、モンテヴェルディ合唱団には及ぶべくもなく後半は疲れが見えていましたし。伴奏もホルンが音を外しかけたり、う~ん。の演奏でしたね。が、考えようによってはそれが普通の状態で、バッハが毎週書いて演奏していた当時はこんな演奏だったのだろう、(ロ短調は演奏されてはないですが)とむしろこの方がリアルだったのでは、と思い直した次第。バッハ博物館で直筆譜や写譜を見て当時の事がリアルに想像できたが故の感想です。
 いずれにせよ、バッハの教会で当時と同じ様に聞けて天井から音が降ってくる感じが体験できたのは貴重でした。ガーディナーのヨハネは良かったし、ゲヴァントハウス=ネルソンスのショスタコの10番も力演でした。ヴァルトビューネのラトル=ベルリンフィルの第9もお祭り騒ぎで楽しめました。当たり前ですが、必ずしもヨーロッパに行けば絶対良い演奏が聴けるとは限らない、日本でもヨーロッパでもよい演奏もあれば外れの演奏もあると言うことも体験できたのもこれも体験です。実り多い刺激的な弾丸珍道中1人旅(全部公共交通機関の移動)でした。先生のお誘い?がなかったら決して行かなかったです。ありがとうございました。

_ I招聘教授 ― 2013年07月02日 01時05分20秒

taiseiさん、向こうでお会いできず、残念でした。でも、今の聖歌隊とバッハ自身の演奏が同レベルだったとは、絶対思えませんよ。全然違うと思います。

_ taisei ― 2013年07月02日 13時13分25秒

今の方が練習も出来るし、断然上手であるはず、と言う意味ですよね。そうなると、余計に今回の演奏が納得出来ないものになるじゃありませんか!?折角、自分を納得させようとしてるんだから、そんなに力んで言わなくても・・・。バッハゆかりの聖歌隊が歌う機会はきっともう無いでしょうし、それはそれで1つの経験だと思えば良いのではないかと。(あれ?ひょっとして、逆?バッハの時の方が作曲者が直に指揮するし当時の歌だからうまく歌えたはず、と?となると今回のはどう考えたらいいのか?)

_ taisei ― 2013年07月23日 22時49分40秒

以前のコメントのどこかに「バッハフェスのプログラムを見てたらガーディナーのプログラムが無くなっていてびっくりして良く見たら「来年」のだった。」旨のコメントがあった様に思いました。ということは教授のもとにはもう来年のプログラムが解ってるということでしょうか?
 もしそうなら、そして、許されるなら来年のロ短調は誰がやるのかだけ教えていただけませんか?帰ってきて振り返るに着けだんだんあのロ短調が悔しくなってきて。「音楽の友」誌の今年の評もガーディナーは誉めてあります(これを聴けたのは幸運なのですが)が、ロ短調はやはりイマイチの評で。
来年もう一度今度は落ち着いてそれだけに絞ってゆっくり聞きに行くのもいいのじゃないかと思いだしているこの頃です。

_ I招聘教授 ― 2013年07月25日 11時59分04秒

taiseiさんどうも。来年のロ短調は、コープマンです。

_ taisei ― 2013年07月26日 13時31分11秒

早速の回答、有り難うございます。コープマンですか・・・。う~ん、私の好みから言うと微妙な感じですね~。ゆっくり考えます。

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